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2019 年度 実績報告書

社会的連帯経済の「連帯」を紡ぎ出すものは何か―コミュニティ開発の国際比較研究―

研究課題

研究課題/領域番号 18H00935
研究機関立教大学

研究代表者

藤井 敦史  立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (60292190)

研究分担者 大高 研道  明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (00364323)
小関 隆志  明治大学, 経営学部, 専任教授 (20339568)
原田 晃樹  立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (20340416)
柳沢 敏勝  明治大学, 商学部, 専任教授 (30139456)
田中 夏子  都留文科大学, 教養学部, 非常勤講師 (30257505)
坂無 淳  福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (30565966)
原田 峻  金城学院大学, 人間科学部, 講師 (40733829)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード社会的連帯経済 / 社会的企業 / 協同組合 / コミュニティ開発
研究実績の概要

2019年度は、まず5月の日本協同組合学会、6月の日本NPO学会において、これまでの研究成果について中間報告を行った。その後、社会的連帯経済の国際比較調査を本格化させた。具体的には、第一に、研究代表者の藤井、分担者の原田、坂無が、ロンドンのタワー・ハムレッツ区とバーミンガム市において、Social Value Actの適用実態、コミュニティ・オーガナイジングを促進するCitizens UK、Locality等によるCommunity Sharesについて調査を実施した。特にCitizens UKの調査は2020年度の翻訳書の発行へとつながった。第二に、研究協力者の田中滋(PARC事務局長)が、米国のミシシッピ州ジャクソン市で活躍するコーポレート・ジャクソンのヒアリング調査を実施し、労働者協同組合、コミュニティ・ガーデン、コミュニティ・ランド・トラスト等、多様な社会的連帯経済の取り組みを確認することができた。第三に、分担者の栁澤が、韓国ソウルで、若者支援に中心的に関わる社会的経済団体のヒアリング調査、聖公会大学ジャン・スンゴン教授との研究交流を行った。第四に、研究協力者の津富宏(静岡県立大)が2019年11月6-8日に、ポルトガルで開催された社会的連帯経済とコモンズに関する国際シンポジウムに出席した。
その後、新型コロナの感染拡大により、2020年3月に予定していた欧州調査が実施不可能になったが、その分の費用を2020年度に繰り越させていただくことで、実際の渡欧は叶わなかったものの、Zoomによる海外インタビュー調査を実施することができ、韓国、米国、英国、カナダ、イタリア、フランス等の社会的連帯経済運動のリーダー10人以上のお話を伺うことができ、各国における社会的連帯経済の「連帯」を支える民衆教育や思想、中間支援組織のあり方について貴重な知見を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度は、5,6月の学会報告、11月までの海外調査を無事に実施することができたものの、2020年2月以降に新型コロナ・ウィルスの感染が広まり、3月に実施する予定だった海外調査が実施できなかった。しかし、2020年度に繰越した科研費により、研究協力者の田中滋氏のPARC(アジア太平洋資料センター)に調査コーディネーションを委託して、オンライン(zoom)による海外インタビューを当初の計画以上に実施することができた。zoomを用いることで旅費の節約だけでなく、録画等の記録も確保することができ、社会的連帯経済をめぐる国際的に最新の情報を得ることができたという点で、結果的に調査としては非常に有意義な結果となったように思う。このような2019年度の調査で明らかになった数多くの知見は、2020年度以降の本調査研究にとって、研究成果に関する著書や翻訳書の出版に活かされることになるだろう。特に、英国のコミュニティ・オーガナイジングに関しては、実際に、Citizens UKの事務局長、Matthew Bolton氏による著作How to Resistを翻訳し、2020年度に法律文化社から出版することができ、幸いにして、多くの実践家や研究者から注目を得ることができた。

今後の研究の推進方策

2019年度までの調査(繰り越し分を含めて)によって、社会的連帯経済をめぐる理論的な枠組みは明らかになり、英国イースト・ロンドン、米国ジャクソン、韓国ソウルにおける社会的連帯経済の実態調査もかなり進めることができた。これまでの調査結果も踏まえ、まずは、2020年に出版した翻訳に加え、社会的連帯経済に関する基本的な書籍を出版していこうと考えている。
その上で、残された研究課題としては、第一に、社会的連帯経済の国際比較調査を更に補足するために、これまでの調査で明らかになった英国・韓国等の社会的連帯経済に関する疑問点をさらに掘り下げるインタビュー調査を、現地調査、或いはオンライン調査によって実施したい。特に、これまでの調査で各国の社会的連帯経済は、それぞれに「連帯」を紡ぎ出すために、コミュニティ・オーガナイジングやパウロ・フレイレの民衆教育等、多様なコミュニティ開発の手法を醸成してきていることがわかった。これらの手法を日本でも適用可能なものにしていくために、海外の実践的なノウハウを豊富に蓄積していく。
加えて、日本の社会的連帯経済が、コロナ禍における生活困窮者が抱える貧困問題・失業問題に対して、どのような有効性を発揮しうるのかという点について、若者支援WISE、ワーカーズ・コープ、ワーカーズ・コレクティブを中心に、日本国内でのフィールドワークを行っていく。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 共生社会の実現に向けて労働金庫に期待すること2020

    • 著者名/発表者名
      小関隆志
    • 雑誌名

      think-R

      巻: 20 ページ: 1-9

  • [雑誌論文] イタリアの社会的協同組合と労働組合の協働2020

    • 著者名/発表者名
      田中夏子
    • 雑誌名

      DIO

      巻: 354 ページ: 8-11

  • [雑誌論文] コミュニティ協同組合を考える① イタリアの社会的協同組合及びコミュニティ協同組合における一般利益とは何か:協同組合「第7原則」との関連を踏まえて2019

    • 著者名/発表者名
      田中夏子
    • 雑誌名

      協同の発見

      巻: 3233 ページ: 62-71

  • [雑誌論文] 社会的連帯経済を考える―カール・ポランニーのレンズを通して見る社会的連帯経済―2019

    • 著者名/発表者名
      藤井敦史
    • 雑誌名

      協同組合研究

      巻: 39(2) ページ: 14-20

  • [雑誌論文] 公共調達・契約における社会的価値評価:社会的インパクト評価の実際とサード・セクターの持続可能性の視点から2019

    • 著者名/発表者名
      原田晃樹
    • 雑誌名

      自治総研

      巻: 45(11) ページ: 35-71

  • [雑誌論文] 地域づくりにおける住民主体の学習活動と協同の展開過程2019

    • 著者名/発表者名
      大高研道
    • 雑誌名

      日本の社会教育

      巻: 63 ページ: 168-180

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reconsidering the Meaning of Knowledge Based on Experiences of Community-Based Social Education Practice in Japan2019

    • 著者名/発表者名
      Kendo OTAKA
    • 雑誌名

      New Directions for Adult and Continuing Education

      巻: 162 ページ: 85-96

    • 査読あり
  • [学会発表] 社会的連帯経済を考える―カール・ポランニーのレンズを通して見る社会的連帯経済2019

    • 著者名/発表者名
      藤井敦史
    • 学会等名
      日本協同組合学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 英国市民社会におけるリジリエンスの条件―イースト・ロンドンのコミュニティ開発調査を中心に―2019

    • 著者名/発表者名
      藤井敦史
    • 学会等名
      日本NPO学会
  • [学会発表] 協同組合とNPOが出会う場所としてのコミュニティへ2019

    • 著者名/発表者名
      藤井敦史
    • 学会等名
      日本NPO学会
  • [学会発表] 自治体調達における社会的価値評価の動向と非営利組織との関係2019

    • 著者名/発表者名
      原田晃樹
    • 学会等名
      日本NPO学会
  • [学会発表] 社会教育研究がワークライフバランスを論じることの意味2019

    • 著者名/発表者名
      大高研道
    • 学会等名
      日本社会教育学会
  • [学会発表] Reframing Collective Learning from Experiences of Community Development Practice in Japan-Creative Jumbling Space and Value Transformation-2019

    • 著者名/発表者名
      Kendo OTAKA
    • 学会等名
      International Conference on Education Research(ICER)
    • 国際学会
  • [学会発表] Restructuring process of collective popular knowledge construction through collective and dialogical community development actions- a case study of workers' co-operative in Tome-city2019

    • 著者名/発表者名
      Kendo OTAKA
    • 学会等名
      International Seminar on Community Vitalization and Lifelong Learning: Korea and Japan
    • 国際学会
  • [学会発表] 移民女性への持続的なエンパワーメントはどのように可能になっているか2019

    • 著者名/発表者名
      坂無淳
    • 学会等名
      日本NPO学会
  • [図書] 勤労者の生活意識と協同組合に関する調査報告書〈2018年版〉2019

    • 著者名/発表者名
      大高研道
    • 総ページ数
      99
    • 出版者
      全労災協会
  • [図書] Rokin Banks: 70 years of efforts to build an inclusive society in Japan through enhancing workers' access to finance2019

    • 著者名/発表者名
      Akira Kurimoto and Takashi Koseki
    • 総ページ数
      54
    • 出版者
      International Labour Organization (ILO)

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公開日: 2021-12-27  

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