研究課題/領域番号 |
18H00946
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
下村 幸仁 山梨県立大学, 人間福祉学部, 教授 (20412942)
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研究分担者 |
菅野 拓 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 都市研究プラザ特別研究員 (10736193)
川村 岳人 大分大学, 福祉健康科学部, 講師 (30460405)
五石 敬路 大阪市立大学, 大学院都市経営研究科, 准教授 (30559810)
長友 祐三 田園調布学園大学, 人間福祉学部, 教授 (50438107)
畑本 裕介 同志社大学, 政策学部, 教授 (50523544)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ベーシック・インカム / 公的扶助 / 就労支援 / 自立回復 / 労福一体型支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①ワークフェアが強化される生活保護等において「条件」として否定的に論じられる就労支援に対し、利用者の尊厳としての就労を確保するための支援として「肯定的」に捉え直すこと。また世界各地で試行が始まったベーシック・インカムへの関心事は専ら現金給付の水準にあるが、②ベーシック・インカム が「働く側の力を強める」(小沢2010)のであれば、能動的な就労を促すための支援はどのように在ればよいのかを検討することである。 2019年度は、ベーシック・インカムの実証実験を終了したフィンランド共和国の社会保険研究所(Kela)において、研究員 Miaka Simanainen から実験結果(第1回報告)を聞き取り調査した。新しい知見としては、ベーシック・インカム利用者と条件付きとの間には差異は認められなかった。なお、ベーシック・インカム利用者には健康面や生活上での幸福度が高まることが明らかになっている。また、ベーシック・インカム利用者に就労支援を実施する場合の職業教育について、OMNIAで調査を行った。 さらに、前年度調査を行ったオランダにおいて、大学や支援団体でのベーシック・インカムの実証実験の成果調査を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大禍のため、実地調査は直前にキャンセルとなった。しかし、ベーシック・インカムを実証実験しているいくつかの都市において出されている成果報告書を入手することができた。 そして、ベーシック・インカムの対抗概念であるBasic Jobの理論的背景と制度設計案について、フローニンゲン応用科学大学教授 Mosselmanからレクチャーを受けることができた。また、レウワーデン市のAMARYLLISでは、先駆的な取り組みとして行政からも評価されている生活困窮者自立支援の状況と行政との関係について知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の対象であるフィンランドとオランダのベーシック・インカムの研究者であるOli KangasやRuud Muffel氏等の研究レヴューはおおむねできた。現地でのベーシック・インカムの成果に関する調査は、フィンランドにおいてはKelaの他の研究者からヒアリング調査を実施することができた。これにより、計画当初のフィンランドにおけるベーシック・インカムの実証実験に関する第一次評価についてはほぼ調査を終えている。 一方、オランダでは、視察直前に新型コロナウイルス感染拡大の影響からか訪問をキャンセルされたことから、研究者からのベーシック・インカムの実証実験の結果についてのヒアリングができなかった。その後、ユトレヒト市、ナイメーヘン市とフローニンゲン市の実証実験に関する成果報告書を入手することができたため、現在翻訳をすすめ、分析作業に取りかかったところである。 なお、韓国のベーシック・インカムである青年手当については、2019年度は文献調査にとどめた。また、希望ケアシステムと日本のワーカーズコープについては継続調査を行っているところである。 そして、本研究の目的としている生活保護等の就労支援を「利用者の尊厳としての就労を確保するための支援として「肯定的」に捉え直す」方法として、オランダにおいて準備がすすめられているBasic Jobの提唱者にヒアリングができたことで、研究の方向性が正しいことを確認することができた。 よって、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は本研究の最終年度となることから、フィンランドとオランダにおけるベーシック・インカム実証実験の成果に関する分析・評価を行う。特に、参加型ベーシック・インカムが就労に与える効果について、オランダのユトレヒト市などの都市から得た実験結果報告書からベーシック・インカム利用者の意見に基づいた分析・評価を実施することとしたい。可能であれば、本年度実施できなかったTilburg大学のRuud Muffel氏のヒアリングを行いたい。 そして、ベーシック・インカム(ユニバーサル ベーシック・インカム)の対抗概念とされるベーシック・ジョブについて、その第一人者であるフローニンゲン応用科学大学の Mosselman氏から継続した知見を得ることとし、次の研究につなげていくこととにする。 韓国の青年手当に関しては、新型コロナウイルスの感染拡大状況を見ながら、韓国政府機関への調査実施を行うことにする。 日本においては、ワーカーズコープに対して、「中間的就労」の実施状況についてのヒアリング調査を行いたい。 そして、最終年度にあたることから、わが国のベーシック・インカム研究の第一人者である小沢氏を招聘して、シンポジウムを開催し、本調査研究で明らかになった知見を公表したい。あわせて、ホームページを再開し公開することとしたい。
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備考 |
現在、ホームページ再開準備中。
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