研究課題/領域番号 |
18H00947
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岡田 進一 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (20291601)
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研究分担者 |
大西 次郎 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (20388797)
永村 一雄 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (60138972)
所 道彦 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (80326272)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症ケア / 地域ケア / ネットワーク |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、A市及びその周辺都市に対して調査を実施した。地域特性に関する調査では、高齢化率が高い地域(40%以上)においては、地域におけるケアの担い手の確保が難しく、また、低所得世帯や単身世帯が多くなり、地域ネットワークが脆弱であることが明らかとなった。また、集合住宅が中心となる地域においては、状況把握が難しく、集合住宅の住民の高齢化がさらに進むと、地域の支援ネットワーク化や専門職による適切な介入・支援がより難しくなると考えられる。特に、一人暮らし高齢者世帯に対する支援においては、一人暮らし高齢者が支援拒否・他者への不信感等を示すことがあり、専門職が介入・支援を行う際、さまざまな困難が生じる可能性が高い。そして、一人暮らし高齢者支援で必要となるキーパーソンを見つけることが難しく、一人暮らし高齢者の別居家族が支援に協力的でない場合も見られた。そして、全体的にインフォーマル・サポートが脆弱となっている傾向が見られ、「近隣住民の助け合い」という感覚が地域によってかなり希薄となり、インフォーマル・サポートを前提とした支援が難しくなりつつあることが伺えた。専門職による認知症高齢者支援の調査では、支援を受けた在宅認知症高齢者の約半数が一人暮らし高齢者であり、年齢層は、80歳代が30%程度を占めていた。一人暮らし高齢者の男女比率は、女性が7割で、男性が3割であった。また、在宅認知症高齢者の約70%が介護保険制度における要介護認定を受けておらず、多くの在宅認知症高齢者が適切な介護サービスを利用していない可能性が高いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに、都市部における在宅認知症高齢者に関する実態調査を実施し、認知症高齢者の状況把握を行うことができた。また、地域特性に関する調査においても、地域特性により、どのような地域課題が生じているのかについての把握ができた。そして、大都市における地域特性に関する分析を終え、次年度の研究を進めるための基本的な内容が整理された。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を踏まえ、今後の研究を以下のように進めていく予定である。 (1)都市部における認知症高齢者の地域生活継続を支える基本的な社会資源や社会資源間の連携のあり方を明らかにする。また、その連携において、どのような問題点が生じているのかを明らかにする。 (2)都市部における認知症高齢者の地域生活継続の支援を行うための地域ネットを構成する担い手として、どのような機関や関係者が存在するのかを明らかにする。さらに、地域におけるケアの担い手についてのニーズや現状把握を行う。 (3)都市部における認知症高齢者の地域生活継続の支援を行うための地域ネットを構築するにあたって、地域特性が異なる場合、どのような要件が加味される必要があるのかを明らかにする。具体的には、地域特性で、地域の高齢化率が高い場合、地域の高齢者の一人暮らしの比率が高い場合等において、どのような要件を加味して地域ネットを構築していく必要があるのかを明らかにする。 (4)(1)~(3)の成果を踏まえ、在宅認知症高齢者に対する支援ネットワークの基本モデルを構築する。
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