• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

里親不調による委託解除を予防する里親子支援モデル構築

研究課題

研究課題/領域番号 18H00948
研究機関大阪府立大学

研究代表者

伊藤 嘉余子  大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (10389702)

研究分担者 野口 啓示  福山市立大学, 教育学部, 准教授 (20804470)
石田 賀奈子  立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (50551850)
千賀 則史  名古屋大学, ハラスメント相談センター, 准教授 (70803782)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード里親 / 里親不調 / 里親支援 / フォスタリング
研究実績の概要

2018年度は大きく以下3点から研究を進めた。(1)里親不調に関する先行研究のレビュー、(2)国際学会における研究成果の報告とディスカッション、(3)里親不調に関する事例研究。
(1)里親不調に関する先行研究のレビューからは、概ね以下のことが明らかになった。(a)里親不調ケースの半数強が思春期年齢の子どもであること、(b)障害のある子ほど里親不調になる確率は高い、(c)里親不調ケースは児童相談所など支援機関と里親との関係が良くないケースばかりである。SOSが出せない里親への支援のあり方が課題である。
(2)ISPCAN(世界児童虐待防止学会)にて、日本の里親支援体制や養育里親の実態調査の結果を報告し、ディスカッションを行った。その中で、日本の児童相談所ワーカーの少なさと担当ケースの多さが指摘され、里親支援(フォスタリング)を担う機関の拡充などの体制整備を本格的に行わなければ、里親委託推進は厳しいという結論になった。
(3)里親不調ケースの事例研究では10事例の分析を実施した。そのうち5ケースは「里親による身体的虐待/性的虐待」であり、あと5ケースは「里親による養育不可能との訴えによる措置解除(不調)」であった。後者の場合は委託から5カ月以内と短期間での不調/委託解除となっているのに対して、前者の里親虐待ケースだと長いものでは5~8年間虐待状態で措置が継続されており、先行研究でも指摘された「公的機関との関係不調(支援など介入を拒否する里親)ケース」で虐待が重篤化しやすいことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1年目の目標であった文献研究と事例分析をほぼ予定通り進めることができた。これらの成果を2年目の全国アンケート調査と本格的な質的分析・事例分析に活かしていく予定である。1年目の研究のプロセスで、児童相談所の里親ワーカー、施設の里親支援専門相談員、養育里親など本調査研究に積極的に協力してくれるネットワークや人材を確保することができた点も大きな収穫えあった。
また、2年目となる2019年度には、スコットランドのフォスタリング機関への視察調査を予定しており、国外の情勢も踏まえた上で、日本における里親支援体制やフォスタリング機関のあり方について検証していきたいと考えている。

今後の研究の推進方策

2年目となる2019年度は、まず5月にスコットランドの社会的養護に関する調査研究機関であるCELSISと、フォスタリング機関や施設ケア部門を運営する法人Kibbleを訪問し、ヒアリング調査を実施する。施設におけるレジデンシャルケアと里親養育との関連性、里親支援の実際、里親研修や施設職員研修の現状と課題について調査をしてくる予定である。
さらに、国内において全国の養育里親を対象に里親不調に関するアンケート調査および里親支援専門相談員や児童相談所ワーカーを対象にした里親不調に関する事例分析やインタビュー調査を実施する。収集した不調事例をTEAによって分析し、どのような介入や支援が里親不調の予防に効果的と言えるのかについて考察する。
3年目の2020年度には、2年目までの研究成果をISPCAN(世界児童虐待防止学会:アデレード)で報告する予定である。
4年目は最終年度であるため、それまでの研究成果を踏まえ「里親不調を予防する里親支援モデル」の構築を目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 社会的養護2018

    • 著者名/発表者名
      倉石 哲也、伊藤 嘉余子、福田 公教
    • 総ページ数
      240
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      978-4-623-07930-8

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi