研究課題/領域番号 |
18H00948
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
伊藤 嘉余子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (10389702)
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研究分担者 |
野口 啓示 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (20804470)
石田 賀奈子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (50551850)
千賀 則史 同朋大学, 社会福祉学部, 准教授 (70803782)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 里親 / 里親不調 / 里親支援 / フォスタリング / 家庭養護 / 社会的養護 / 里親ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
2020年度はコロナ(COVID-19)感染拡大の影響で、当初予定していた、学会発表のための出張やインタビュー調査は実施できなかったものの、オンラインによるインタビュー調査、情報収集と、郵送法による実態調査を実施することができた。また、海外のジャーナルに研究成果の投稿を積極的に行った。具体的には以下のとおりである。 1)日本子ども家庭福祉学会(オンライン開催)において、2019年度に実施したスコットランドにおける里親等の社会的養護経験者に対する自立支援に関するインタビュー調査研究の報告を行った。2)日本社会福祉学会(オンライン開催)において、里親による虐待事例の分析結果の報告を行った。事例分析の結果、不調ケースの多くは児童相談所のワーカーが、里親登録前から里親に違和感を感じているケースが多く、リクルートの課題が示された。3)英国雑誌「impact」に本研究課題が「The construction of the Foster family support model to prevent the cancellation of placement」として紹介された。4)研究班メンバーとともにテキスト「子どもを支える家庭養護のための里親ソーシャルワーク」(ミネルヴァ書房)を出版した。5)「Scottish Journal of Residential child care」に、2本のshort article「Covid-19 in Japan;Part1:The impact on Social Foster Care」と「Covid-19 in Japan;Part2 :The impact on Social Care Leavers」を投稿、掲載された。6)全国の児童養護施設を対象に、2019年度に里親家庭から施設に措置変更されてきた子どもたちの実態調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度はコロナ禍の影響で、学会発表のための出張やインタビュー調査は実施できなかったものの、オンラインによるインタビュー調査、情報収集と、郵送法による実態調査を実施することができた。また、海外のジャーナルに研究成果の投稿を積極的に行った。具体的には以下のとおりである。 1)日本子ども家庭福祉学会(オンライン開催)において、2019年度に実施したスコットランドにおける里親支援に関するインタビュー調査研究の報告を行った。2)日本社会福祉学会(オンライン開催)において、里親による虐待事例の分析結果の報告を行った。3)英国雑誌「impact」に本研究課題が「The construction of the Foster family support model to prevent the cancellation of placement」として紹介された。4)研究班メンバーとともにテキスト「子どもを支える家庭養護のための里親ソーシャルワーク」(ミネルヴァ書房)を出版した。5)「Scottish Journal of Residential child care」に、2本のshort article「Covid-19 in Japan;Part1:The impact on Social Foster Care」と「Covid-19 in Japan;Part2 :The impact on Social Care Leavers」を投稿、掲載された。6)全国の児童養護施設を対象に、2019年度に里親家庭から施設に措置変更されてきた子どもたちの実態調査を実施した。 以上のように、リサーチ、情報収集、成果発表とあらゆる面においておおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる今年度(2021年度)は、これまでに収集したデータや事例のさらなる精緻な分析を進めるとともに、海外との比較検証を行う。これらの成果を踏まえて、日本における今後のフォスタリング機関の設置や里親支援ソーシャルワークの展開のあり方について一定の提言を行いたいと考えている。 具体的には、昨年度実施した、全国の児童養護施設を対象に実施した、里親不調が理由で児童養護施設に措置変更してきた子どもたちのACEsやSDQのスコアと、措置変更理由や経過、虐待経験の有無などとの相関等について統計的に分析することによって、里親委託時のアセスメントに必要な視点や指標、アセスメントやマッチングのポイント、訪問支援時のポイント、措置変更時に必要な支援や配慮等について、一定の提言を行いたい。 また、2019年度から継続して実施している英国スコットランドとの国際比較研究の結果も踏まえ、国が進めようとしているフォスタリング機関の設置や家庭養護推進における留意点やリスクとその解決策について提案することを目指す。 英国を含む先進国における社会的養護は里親委託など家庭養護が主流であるものの、里親不調の予防や、里親不調による複数回にわたる里親家庭たらいまわし(ドリフト)の問題を解決した国はまだない現状である。そのため、本研究の成果は日本国内のみならず、広く海外にも発信し、諸外国の実践者や研究者の意見もぜひ収集したいと考えている。
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