研究実績の概要 |
認知症専門医療機関と連携を行っている地域包括支援センター(以下,包括)の専門職を対象とし,認知症の鑑別診断時における認知症専門医療機関側,特に相談窓口として対応するソーシャルワーカー等の連携担当者の対応やそれに対する期待について明らかにすることを目的にアンケート調査を実施した。全国の包括5,464ヶ所(2019年7月末時点)から層化二段階抽出法により選定した1,000ヶ所に勤務する4職種(社会福祉士,保健師等,主任介護支援専門員,認知症地域支援推進員)計4,000人を調査対象とした。調査方法は,無記名自記式の質問紙を用いた郵送調査であった。2ヶ所の包括から宛先不明のため返送され,最終的な調査対象者数は3,992人であり,回答は924人から得られた(回収率:23.1%)。結果,受診待機日数は平均16.2日,包括の管轄地域にある医療機関の設置状況は,認知症疾患医療センターが約4割,認知症専門医のいるクリニック(診療所)が4割弱であった。鑑別診断に向けた受診援助を行ったことがある専門職は8割強であった。認知症専門医療機関からの助言で最も多かったのは,「認知症が疑われる主症状を情報収集するようにとあなたに助言すること」(5割強)であった。受診方法や診療体制に関する説明等は,「診療予約の手続きに関する説明」「主介護者の同行が必要である旨の説明」が7割を超え,「受診の緊急度を鑑みた診療日の調整」が6割強であったが,「主介護者を心理面でサポートできる人の同行が必要である旨の説明」は約4割であった.診断後における支援に関する説明等は,「診断結果の説明」「今後の治療内容に関する説明」が8割弱であったが,「経済支援のために活用した社会保障制度に関する情報」「今後経済支援のために必要な社会保障制度に関する提案」は2割を下回っていた.鑑別診断に必要な情報収集の助言への期待は6割以上,診断後の支援の説明等への期待は8割以上であった。
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