研究課題/領域番号 |
18H00949
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
竹本 与志人 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (70510080)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症 / 診断前支援 / 診断後支援 |
研究実績の概要 |
2020年度は,地域型認知症疾患医療センターにおける鑑別診断前の情報収集の内容と診断後のフォローアップ内容,診断前後の医師との連携内容を可視化することを目的にインタビュー調査を実施した(3府県の地域型認知症疾患医療センター6施設に勤務する連携担当者8名を対象)。分析には定性(質)的コーディングを用いた結果,診断前の情報収集の内容は,【主観的な症状】【客観的な症状】【病歴】等の10カテゴリーに分類できた。また,診断後のフォローアップ内容は,【受診・受療援助】【療養生活の基盤を支える制度の活用】【地域資源の活用と連携・協働】の3カテゴリーに,診断前後の医師との連携内容は,【受診前の連携】【診断結果と今後の医療の確保に関する確認】【受診後の協議】の3カテゴリーに分類できた。次いで,岡山市と当事者団体との協働で認知症と診断された人やその家族に対する診断直後等の早期の円滑な支援ができる「チームオレンジ」等のあり方を検討する基礎資料を得るため,アンケート調査を実施した。岡山市民が認知症に係る診療を受けていると考えられた県内32か所の医療機関に対して調査協力を依頼し,承諾を得られた11か所へ調査票を計340部送付し,医療機関から認知症の人とその家族へ配付した。コロナ禍であったことも影響し,回収率が低値であったことから一般化に向けた調査は次年度に持ち越すこととなった。 2021年に持ち越した調査では,認知症の人と家族の視点から受診・受療援助の実態を定量的に明らかにすることを目的に,岡山市内の全居宅介護支援事業所と全地域包括支援センターに協力を依頼し,居宅介護支援事業所18か所,地域包括支援センター2か所の協力を得て,82世帯へアンケートを配付した。結果,42世帯分の回答が得られた(回収率:51.2%)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍であったが,予定していたインタビュー調査が実施できた。その調査結果をふまえて,行政機関や当事者団体と協働でのアンケート調査を実施したが,コロナウィルス感染拡大の影響を受け,回収率が低値となった。しかし,次年度にその補完の調査を実施することができ,認知症の人や家族の視点からの医療機関の診断前後の支援の実態と課題が概ね明らかとなった。これらの結果より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は医療機関側を対象とした診断前後の支援の実態を調査するとともに,岡山市以外の認知症の人と家族を対象とした調査も行い,結果の一般化を図る予定である。
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