研究課題
COVID-19の影響を受け、世界の状勢を勘案しながら研究活動を進めた。状勢ははかばかしくなく調査の実施に支障をきたしたことから、研究目的を叶えるよう繰越を申請し、承認を得ることができた。このことにより、COVID-19が大きく縮小をみた2022年度の年末から国内調査、海外調査の実施を年度内に行うことを企画調整した。国内調査は2020年度繰越による沖縄県におけるLARA研究成果をふまえて検討に着手した。沖縄県は当時、琉球国として扱われていた政治状況がある。日本のAグループの都府県を中心に、その共通性と差異を検討する意義をとらえている。海外調査はアメリカ、ドイツで実施した。アメリカではミネアポリスのミネソタ大学のアーカイブズを中心にLARA、CRALOG、日系移民に関わる資料の収集に取り組んだ。特にLARAの構成団体でAFSC以外の組織であるYMCAの資料の閲覧を行った。YMCAは戦前から日本での活動がある組織であり、戦後の日本における活動の再開と展開についての資料も多数保管されていた。それらを全て閲覧することはできず、一部に留まったが、救援対象国との関わりの継続性、連続性及び非連続性について把握することができた。ドイツではブレーメン、ニーダーザクセン州立文書館を中心にCRALOG、戦中戦後の福祉施設、財団の資料の閲覧に取り組んだ。CRALOGそのものの文書は現段階では把握できなかったが、閲覧した文書から福祉施設の運営に財源の確保が欠かせないこと、政治との関わりがあることなどを把握、考察した。本研究にはアメリカ、ドイツ各地のアーカイブズの利用が有効であった。その一方、利用においても一定の課題があることを把握した。日本におけるアーカイブズの構築と運営が容易ではないことを予測するとともに、その必要をあらためて認識することができた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。