研究課題/領域番号 |
18H00953
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
斉藤 雅茂 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (70548768)
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研究分担者 |
近藤 克則 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (20298558)
村田 千代栄 東海学園大学, 健康栄養学部, 教授 (40402250)
横山 由香里 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (40632633)
斎藤 民 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 部長 (80323608)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域福祉 / 社会的孤立・孤独の軽減 / プログラム評価 / 高齢者福祉 |
研究実績の概要 |
高齢者の社会的孤立・孤独軽減にむけた地域福祉実践プログラムとして、全国的にもいくつか取り組まれているポイント制による高齢者の社会参加促進事業、大都市における地域住民による地域支え合い事業、また、都市でも局地的に「限界集落化」が進んでいる団地における生活支援事業に着目し、その孤立・孤独軽減および健康リスクに及ぼす効果評価を進めてきた。 2019年度にJAGES(日本老年学的評価研究)と連携して大規模調査実施した。収集されたデータの整備・調整を待って、主な評価指標である社会的ネットワークの規模と頻度、ソーシャルサポート、外出頻度、笑いの頻度、孤立感・孤独軽減、抑うつ傾向、健康リスク等の分析を引き続き進めた。2020年度には、政策的なインパクト評価として、介護保険の認定・賦課データに基づいて約4年間の転帰(要支援を含む要介護認定の発生、健康寿命の指標でもある要介護2以上の発生、認知症を伴う要介護認定の発生、総死亡)を追跡し、事業参加・利用が高齢者の健康維持にもたらした効果を検証した。 愛知県内をフィールドにして、2016年調査データをベースラインとし、上記事業の参加と非参加および生活支援サービスの利用者と未利用者を比較した3年後の状態像の変化の解析を進めた。フィールド1(常滑市)では、初年度から進めているスマイルポイント事業について、QRコードデータに基づく参加者把握を試み、この3年の間で参加者数は増加し、また、社会参加していなかった人の参加も促進されつつあることが示唆された。フィールド2(名古屋市)では、新型コロナ感染症流行を踏まえ、流行前後の状況についても調査を実施し、2/3の高齢者で外出が減少していることがわかった。フィールド3(名古屋市緑区・鳴子団地)では、通いの場への参加によって情緒的サポートが拡大し、新規要介護発生率が低下している可能性があることなどがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポイント制による高齢者の社会参加促進事業、大都市における地域住民による地域支え合い事業、また、都市部でも局地的に「限界集落化」が進んでいる団地における生活支援事業のいずれのフィールドにおいても、良好な関係が維持されており、研究および論文化は順調に進んでいる。 2019年度に実施した大規模調査データの整備完了を待って、それらの事業推進による孤立・孤独軽減および要介護認定や認知症発症など健康リスク、またその後の介護費用に及ぼす効果等の検証を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2016年に実施した大規模調査データをベースラインとして、2019年度に実施したデータと突合したパネルデータおよびコホートデータの構築・整備が完了しており、分析を進める。 常滑市のポイント制による高齢者の社会参加促進事業、大都市(名古屋市)における地域住民による地域支え合い事業、および都市でも局地的に高齢化が進んでいる集合住宅における生活支援事業、コロナ禍における状況についてのデータ収集を実施しており、それぞれの非参加群ないし未利用群と比べた、参加群ないし利用群の間での孤立・孤独軽減効果等に関する効果評価を引き続き試みる。 今後の主な評価指標は社会的ネットワークの規模と頻度、ソーシャルサポート、外出頻度、笑いの頻度、孤独感、抑うつ傾向などを予定している。事業の性質上、ランダム化比較試験は行わないが、擬似的・統計的に実験空間を設定する手法として、傾向スコア・マッチング法を採用し、データの欠損に対しては多重代入法を用いて可能な限りで補完し、推計のバイアスを最小にする努力を最大限行う。
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