研究実績の概要 |
2020年度は2019年度に引き続きA区内の生活支援サービス提供活動団体へのインタビュー調査を実施した。その結果、住民ボランティアが提供可能な「支援」「助け合い」の要素も明らかになった。家事援助を担う住民ボランティアは、高齢者支援に関する専門的知識やスキルを有するNPOや社会福祉法人を母体として活動し、支援内容も居室の掃除など定期的なものが多く、住民ボランティアの活動認識も手段的支援の提供を主目的であった。一方で、住民が居住地域内(団地内、町会内など)で提供する家事援助などでは、その支援内容も家具の移動支援など単発なものが主であり、活動認識も「住民互助」「助け合い」が主目的であった。住民ボランティアや第2層協議体が展開する買い物支援や移動支援では、ボランティアの活動認識も買い物を切り口とした高齢者の外出や交流促進、および見守りであった。高齢者の日常生活支援というより、高齢者の孤立予防・孤独感解消といった情緒的支援の提供に活動意義を見いだしていた。以上のことから、資格を有さない住民ボランティアにとっては、生活支援というタスクを通した社会参加支援を主目的とした活動がなじみやすい可能性が示唆された。2021年度は、東京都B区の65歳以上高齢者(要介護認定者を除く)の中から無作為抽出した15,000名を対象とした郵送による自記式質問紙調査により、近隣住民への支援提供意向を尋ね、属性別に提供可能な支援内容を検証している(データ分析中)。
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