研究期間全体の計画を踏まえ、本年度は次のような研究を実施した。 1)関連研究の調査(担当:三田、渡邊、高橋):健康寿命を延ばす住空間を構成するための最新技術を盛り込んだロボットの仕様、ロボットの運用計画方法、さらには最終年度のための実寸大実験に関する研究について調査した。2)居住空間での共生に適したサイズのロボットによる歩行予測(担当:三田):実寸大の歩行空間を構築して、被験者に直進と右折をランダムに選択して歩行してもらった。ロボットが後方からその歩行を観測し、歩行方向を高い精度で予測するアルゴリズムの提案と検証を行った。3) 高齢者の健康寿命を延ばすことに寄与する指標の獲得方法の開発と検証(担当:高橋):ロボットに搭載した非接触で距離を計測可能なレーザーレンジセンサを用いて人の両脚の動きについて空間的指標、時間的指標を獲得可能なアルゴリズムを開発した。頸椎症性脊髄症の高齢者を含む複数の被験者で実験を行い、計測値の妥当性と身体機能を把握する方法としての妥当性を検証した。 5)生活改善への支援(担当:渡邊):実寸大のインテリジェント・インフィルを構築するとともに、特にコミュニケーションや健康サポートを行う対話型アプリケーションを独自に開発した。そして、それらの実用化に向けて利用ニーズの有無や特に音声認識による対話型システムのユーザビリティについて調査するために、高齢者30名に対してインテリジェント・インフィルやアプリケーションを体験してもらう実験調査を行った。その後アンケート調査の質問に回答してもらい、有用な知見を得て、生活改善に向けた運動の仕方等の提示方法について検討した。6)温熱・照明制御によるリスク低減(三田、伊香賀(連携研究者)):家庭内事故や疾病の低減につながる温熱・照明制御手法についての研究を継続して実施した。
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