研究課題/領域番号 |
18H00984
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
耳塚 寛明 青山学院大学, コミュニティ人間科学部, 学部特任教授 (40143333)
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研究分担者 |
中西 啓喜 立教大学, 社会学部, 助教 (10743734)
浜野 隆 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (00262288)
冨士原 紀絵 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10323130)
垂見 裕子 武蔵大学, 社会学部, 教授 (10530769)
蟹江 教子 宇都宮共和大学, 子ども生活学部, 教授 (50620522)
寺崎 里水 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (70432028)
王 杰 (王傑) お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 研究協力員 (80432037)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学力格差 / 社会経済的背景 / 学校外教育 / 就学前教育 |
研究実績の概要 |
本研究では、(1)A県B市教育委員会との連携により、小学4年生から中学3年生までの追跡的学力データを提供してもらい、(2)児童生徒調査、保護者調査、教員調査を実施する。これらのデータ分析から青少年の学力および進路形成過程を総合的に把握し、格差是正に向けた政策的インプリケーションを得ることが本研究の目的である。
前年度には、B市の市立小中学校の小学5年生と中学2年生の保護者を対象とした質問紙調査を実施した。加えて、対象学年の児童生徒の学力データをB市教育委員会より提供を受け、それぞれのデータを接続した。こうして構築したデータを統計的手法により分析し、B市への分析報告会を行った。
さらに、学力スコアを従属変数、児童生徒の家庭背景を独立変数に設定した回帰分析から、統計的な分析から予測されるよりも高い成果を上げている学校を抽出し、選定された学校への聞き取り調査を実施した。今後はヒアリング調査の結果も合わせて計量分析を深める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査年度内に保護者への質問紙調査を実施すると同時に、教育委員会が紹介する高い教育成果をあげる学校への聞き取り調査も実施した。加えて、調査エリアに対しプリミティブな分析報告まで行ってる。これらの調査および報告を通じて、次年度の調査に向けた準備も整っており、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度には、(1)B市教育委員会より、小学6年生と中学3年生の学力データを提供してもらい、(2)小学6年生と中学3年生に対する質問紙調査(3)B市の小中学校管理職への質問紙調査を実施する。これらのデータを前年度までに得たデータと接続する。これにより、豊富な家庭環境の情報、児童生徒情報、学校教育情報を含んだ3年分の学力パネルデータを構築することが可能となる。本年度では上記データ分析によって、(1)A県B市を対象に学力格差発生メカニズムとその推移を把握し、(2)学力格差の克服に向けた学校教育の在り方について明らかにする。これらのデータ分析を通じて、学力格差の是正に効果的な学校教育を実証的に明らかにする。さらに、教育委員会や現場教員へのヒアリング調査を通じて量的データ分析の解釈の妥当性を高める。具体例な分析計画は以下の通りである。
A)3レベルのマルチレベルモデルによるパネルデータ分析:時点(レベル1)、児童生徒・保護者の情報(レベル2)、学校要因(レベル3)を設定したマルチレベルモデルによる分析により、学力格差の推移について、児童生徒本人、保護者の情報、学校要因にまで踏み込んで明らかにする。
B)学力格差を是正する学校教育要因の把握:学力格差を是正する学校教育要因は未だに明確ではない。特に学級規模については、「クラスサイズ・パズル」と呼ばれるように、データ、手法、分析モデルによってしばしば知見が整合的ではない。また、海外の研究成果によれば、学校風土の重要性が示唆されている。こうした観点から、学級規模や学校風土が学力格差を縮小するのかについて追跡的データより分析する。
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