研究課題
1年目第1期研究(プログラムの開発・効果検証・社会実装推進)を獨協医科大学埼玉医療センター子どものこころ診療センター作田を中心となり実施した。母子への介入は研究協力者である筑波大学システム情報系松田壮一郎らが中心となって実施した。【研究目的】包括的支援プログラムにより、①保護者の育児不安・ストレス・抑うつ傾向が低下し、QOLが向上するか、②子どもの全般的な発達、言語発達は向上し、自閉症重症度、行動問題は低下するか、③家庭での母子相互作用場面において母子間相互作用の回数は増えるか、母子共に笑顔の頻度・アイコンタクトが増えるか明らかにする。【初年度の研究実績】①第1期研究参加母子の募集:自閉症スペクトラム障害のある未就学児10名と家族を募集した。②保護者に対する事前検査の実施、③参加児の診断及び事前検査の実施、④ワークショップ:1ヶ月間、週に1回(合計4回)のワークショップを実施した。保護者の育児不安・ストレスの低減を目標とし、楽観的思考訓練を改編し「困難な状況と関連する独り言の同定」「ネガティブ思考を妨害する気晴らし」「悲観的思考から楽観/生産的思考への置換」「独り言の認知・修正スキルの実践」の課題構成とした。⑤対面コンサルテーション:1ヶ月間、週に1回(合計4回)のコンサルテーションを実施した。保護者の子どもに対する支援技術の習得を目標とし、機能的コミュニケーション訓練を改編し、「適切行動の即時強化」「環境の整備」「指示の出し方」「標的行動の設定」の課題構成とした。これまでの中間解析によると、参加した親の悲観的思考から楽観的な思考への変化が認められ、本研究で期待されてる包括的支援の有効性が示されつつあると考えられた。
1: 当初の計画以上に進展している
研究参加者のリクルートが順調に進んでいる。コンサルテーション、ワークショップは医療機関スタッフ(医師、心理士)と連携して実行により順調にデータが蓄積された。集積した画像データ、心理検査等データの解析は第2年度に行うが、母子相互の行動観察による評価は順調に進むと考えられる。
第2年度として以下の研究を推進する。①第1期の中で予定している遠隔支援の開始:4ヶ月間、2週間に1回(合計8回)の遠隔支援を実施する。家庭内母子相互作用の改善を目標とし、家庭で保護者が行動観察アプリケーションを用いて撮影した母子相互作用の映像データを基に、Skypeを介して遠隔支援を実施する。自発的な母子間の笑顔、アイコンタクトを増やすため、インターネットを介して「随伴模倣」「子どもの好きなおもちゃを選ぶ」「注意を引いてからの指示」などの項目に対し、フィードバックする。各項目について、映像データを基に観察者間の一致率を算出する。また、第1期ワークショップ及びコンサルテーションで学習したポジティブ思考法の維持を図る②第1期事後検査(参加児):事前検査と同様、全般的な発達を新版K式発達検査2001、自閉症重症度を広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度を用いる。③第1期事後検査(保護者):事前検査と同様、育児ストレス、抑うつ傾向、Quality of Life、精神保健について評価する。第2期支援研究開始:1期目の支援プログラムの効果を基に、第2期ワークショップ、コンサルテーション、遠隔スーパーバイズを開始する。2年目には連携する3大学からも参加母子を募り、20組のASD母子を対象とすることを目的とする。包括的支援プログラムを受ける群(10組)と日常的な支援を受けている群(10組)の群間比較を実施することにより、エビデンスのより強固な評価を実施する。④第1期参加者のフォローアップ検査:第1期参加母子へ支援期間終了後もフォローアップにより継続的な検査を実施し、各指標間の関係性を分析する。その上で、支援効果がどれほど持続するか、またその支援効果の持続にどのような母子の検査結果・映像データが影響しているか調べる。⑤また、児の社会的視覚注意の変化についてアイトラッカーを活用し評価を開始する。
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