研究課題
本研究の第一の目的は、発達障害児の行動特性と周囲の児童生徒の相互作用に着目しつつ、発達障害児のいじめ被害の実態解明および介入・予防方法を検討することである。まず、全国の学級担任教諭を対象としたアンケート調査を実施し、通常学級における発達障害のある児童生徒のいじめ被害と周囲の児童生徒との相互作用に関する実態等を明らかにすることを試みた。その結果、発達障害児の「LD・多動性」、「衝動性」や「感情コントロール不全」といった特徴が、児の「疎外被害」や「言語的・物理的攻撃被害」に繋がっている可能性が示唆された。一方で周囲の児童生徒は、こうした特徴のある児を「トラブルメーカー」、つまり「むしろ加害者」と認識しがちであることも伺えた。周囲の児童生徒は同情的・共感的に接することよりも、排斥的・攻撃的に接することの方が多いと推測され、こうした事態が「発達障害児のいじめ被害」の背景に広く存在していると考察された。上記のような実態を踏まえて、通常学級における発達障害児のいじめ被害を予防するためのインクルーシブ教育の視点を取り入れた学級経営モデルの構築と、その学修のためのカリキュラム・プラン生成を本研究の第二の目的とした。さらに、同モデルを学修した教諭の追跡調査等を実施し、同モデルの自校化・実践化支援と効果検証を行うことを第三の目的とした。しかしながら2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大と予防措置により、各学校ではさまざまな活動が制限されたり、学校行事も中止・延期されたため、学級経営状況を観察することができず、教育現場における調査は断念せざるを得なかった。代わりに、教員養成大学学部における1年次から4年次までの、生徒指導関連科目や道徳教育関連科目、学級経営の制度や理念について学ぶ科目や実習系科目からなる「インクルーシブ学級経営モデル」修得のためのカリキュラム・プランを作成した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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