研究課題/領域番号 |
18H01009
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 司 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (50235256)
|
研究分担者 |
大沼 久美子 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (00581216)
渡辺 慶一郎 東京大学, 学生相談ネットワーク本部, 准教授 (10323586)
布山 毅 東京藝術大学, 大学院映像研究科, 教授 (10336654)
高野 明 東京大学, 学生相談ネットワーク本部, 准教授 (50400445)
大島 紀人 東京大学, 学生相談ネットワーク本部, 講師 (70401106)
三木 とみ子 女子栄養大学, 栄養学部, 客員教授 (80327957)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 精神保健 / 精神保健リテラシー / 早期発見・早期対応 / 教員 / 保護者 / 教員教育 |
研究実績の概要 |
精神疾患の好発年齢は意外と早く、10代半ばまでには半数で症状が始まっているとの報告もある。また精神疾患の生活への影響が最も増加するのは10代であり、10代思春期における精神疾患の予防と早期発見、早期対応は極めて重要と考えられる。一方精神不調には不調を抱える本人はなかなか気づけないことも多く、周囲の気付きと支援が重要である。10代の子ども達にとって特に重要となるのが、子ども達と長時間一緒に過ごす学校の教員の気付きと支援である。勿論、保護者の気付きと支援も大切である。本研究では、10代の子ども達と一緒に生活するこれらの大人達が、子ども達の精神不調に早期に気付き、適切な対応をとるために必要な知識と考え方(精神保健リテラシー)を学ぶための教育プログラムを開発し、10代の子ども達の精神的健康に資することを目的としている。 今回特に重点を置いているのは、学校教員向けのプログラムである。現時点までは、プログラム作成の基本情報となる、1)国内外でどのようなプログラムが作成され、どのような効果検証が行われているか、2)我が国の学校教員の精神保健リテラシーのレベルが実際にどの程度かについて検討した。また予備的に作成した教員向けプログラムの効果については簡単な検討を行った。 結果としては、1)海外では教員向け精神保健リテラシー教育のプログラムは複数作成され検証はされているが、その検証方法は不十分であり、しっかりとした効果が確立されたプログラムはほぼ皆無であった。2)600人ほどの高校教員を対象に、精神保健リテラシーのレベルを、質問紙を用いて調査したが、基本的知識等で不十分な面が目立った。3)予備的なプログラムでは、教えた内容については理解の向上が得られたが、2)の結果を考えると、プログラム内容の改善がまだまだ必要と考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教員向け精神保健リテラシー教育のプログラム開発に必要な予備情報の検討までは進んでおり、ごく予備的なプログラム作成と検証も行ってはいるが、本格的なプログラム作成までは進んでいないため。
|
今後の研究の推進方策 |
教員の精神保健リテラシー調査で明らかになった、教員に不足する知識や意識の具体的内容をもとに、開発すべきプログラムの内容をまず検討・確定し、共同事業を進めている自治体の協力を得て、その効果検証を進める。なおプログラム内容の検討に際しては、10代の子ども達の精神的健康に関連する生活習慣や意識(睡眠習慣、運動習慣、SNSの問題、体型への意識など;成果物参照)についても考慮する。
|