研究課題/領域番号 |
18H01013
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
向井 康比己 大阪教育大学, 教育学部, 名誉教授 (30110795)
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研究分担者 |
臼井 智美 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30389811)
中山 あおい 大阪教育大学, グローバルセンター, 教授 (00343260)
高橋 登 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00188038)
古川 敦子 大阪教育大学, グローバルセンター, 准教授 (80731801)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 外国にルーツのある子どもの教育 / 日本語教育 / 学習支援 / 副専攻プログラム / 地域連携 |
研究実績の概要 |
日本語指導が必要な児童生徒数は増加し続けているが,かれらの支援や指導ができる知識や専門性をもった教員の養成・研修は,一部大学や自治体での個別実践を除いては,体系的に行われていないのが実情である。本プロジェクトでは,文部科学省も喫緊の課題として挙げる,日本語指導が必要な児童生徒の指導を担える教員の体系的な育成を実現するために,大学における養成教育と,現職教員教育からなる,体系的な教師教育モデルプログラムを開発し普及することを目指すものであった。 本科研費初年度である2018年度は,養成教育モデルプログラムの作成について,準備を進めてきた。最初に,国内の主要な教員養成系大学のカリキュラムの調査,近隣教育委員会への聞き取り調査,および大阪教育大学の協定校であり,移民の受入実績の豊富なドイツ・ライプチヒ大学への訪問調査を実施した。それらの結果と,大阪教育大学のカリキュラムの実情,またモデルプログラムとしての他大学への普及の可能性を考慮し,学生定員をもつ主専攻としてではなく,関心のある幅広い専攻の学生も参加可能な副専攻プログラムとして立てることとした。 副専攻プログラムは,①多文化理解に関する科目(8単位),②日本語教育に関する科目(8単位),③インターンシップ等の実習科目(2単位+学校体験実習2単位相当)の3つの柱から構成する。主専攻との負担のバランスを考慮し,プログラムの修了要件は20単位相当とする。既存の授業科目の中からプログラムの目的に合致するものを配置した上で,不足するものに関しては新規に科目を立てることとした。また,内容の整備と合わせて,副専攻プログラムの学内規定の整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,当初計画よりも大きく進展した部分と,大きな遅れのある部分の両方があった。当初計画よりも大きく進展したのは,国内外の実態調査や近隣教育委員会への聞き取りをもとに,本学の実態をふまえた副専攻プログラムの骨格を作り,学内規定の整備に着手できた点である。次年度からのプログラムの実施に向けて,準備を整えることができた。 その一方で,当初予定と比べて遅れが見られるのは,もうひとつの柱として位置づけている現職教員教育についてはほとんど手が付かなかった点である。また,副専攻プログラムはインターンシップ等,学校現場での実習も重視しているが,教育委員会等との間で充分な調整が行えていないため,プロジェクトメンバーが個人的に関わっている学校・施設等にインターンシップ先が限定された。 大学内のプログラム計画の具体化,実現に向けた規程の整備等については着実に進んだが,当初はそちらに未確定な部分があったことから,教育委員会等の学外諸機関との調整は充分に行われず,この点は当初計画と比べて不十分であった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本年度の達成状況を踏まえ,次の諸点の実現を目指す。第1は副専攻プログラムの起ち上げである。規程類の整備にはまだ時間を要するため,次年度は試行的にプログラムを起ち上げることとする。また,本格実施に向けた規程類の準備と学内体制の整備を行う。第2に,近隣教育委員会との調整のもとに,日本語教育のセンター校や外国にルーツのある児童生徒が多く在籍する学校へのインターンシップ,学校見学実習の実現を目指す。さらに,各市の教員研修等に本プロジェクトメンバーを講師として派遣し,各市の制度,校内研修体制の整備に助言することで,大学と地域教育委員会の連携による,外国にルーツのある児童生徒への総合的な支援システムの構築に貢献するとともに,大学側ではそれを担える人材,とりわけ教員の養成を副専攻プログラムによって実現する。
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