研究課題/領域番号 |
18H01016
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小山 正孝 広島大学, 教育学研究科, 教授 (30186837)
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研究分担者 |
山口 武志 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (60239895)
影山 和也 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (60432283)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 数学理解研究 / 数学科授業研究 / 統合 / 中等教育 / 質的向上 |
研究実績の概要 |
第1年次(2018年度)は、研究代表者がこれまでに行った研究成果である小山(2010)とKoyama(2016)を基に、数学理解研究における「2軸過程モデル」と数学科授業研究における「2つの相補的省察の力動的サイクル」の統合の枠組みを構築することを主たる目的として、研究を行った。その結果、以下のような成果が得られた。 (1)数学理解研究と数学科授業研究に関する文献研究を行うことによって、数学理解研究と数学科授業研究の統合の枠組みを理論的に構築することができた。その統合の枠組みは、生徒の数学理解を深めることをねらった数学科授業を2軸課程モデルを用いて構成し、教師や教師教育者が協働して数学科授業研究を行う過程で、教師や教師教育者の個々の省察と集団としての省察とが原動力として働き、教師や教師教育者の専門的職能が育成され、中等数学科教育の質的向上に寄与し得るという力動的サイクルである。 (2)研究代表者と研究協力者が研究協力校の承認を得て、中学校・高等学校において数学科授業のデータ収集することによって、第2年次(2019年度)の本研究を実施するための準備を整えることができた。 (3)第1年次の研究成果をまとめ、その論文が国内の全国数学教育学会の学術誌『数学教育学研究』(第24巻第2号、2018年10月)と『Hiroshima Journal of Mathematics Education』Vol.12 (2019年2月)に掲載された。また、研究成果を国際会議The Mico International Mathematics Teaching Summit (2019年3月、ジャマイカ)で発表した。それによって、数学理解研究と数学科授業研究の統合が中等教育の質的向上に寄与し得るとともに、国際的な数学教育学研究における1つの新領域であることを提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1年次(2018年度)は、数学理解研究における「2軸過程モデル」と数学科授業研究における「2つの相補的省察の力動的サイクル」の統合の枠組みを構築することを主たる目的として研究を行った。当初は、シンガポール国立教育研究学院や韓国教員大学校で本研究の研究計画のレビューを受ける予定であったが、2018年7月西日本豪雨災害の影響で予定していたシンガポールと韓国を訪問することはできなかった。しかしながら、主として文献研究によって、数学理解研究と数学科授業研究の統合の枠組みを理論的に構築し、その成果を国内外の学会で発表するとともに、研究成果を学術論文として公表することができたことから、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
第2年次(2019年度)は、以下のように本研究を推進する。 (1)中・高等学校における数学科授業研究の実施 研究協力校の承認を得て中学校・高等学校において、数学科授業研究として2軸過程モデルに基づく数学科授業を構成・実践する。これは、研究代表者と研究分担者が、研究協力者(教諭2人)に協力を依頼して行う。 (2)数学理解と授業力の変容過程と特徴の解明 生徒の数学理解と数学科教師の授業力の変容を継続的に調査・分析し、生徒の数学理解と数学科教師の授業力の変容過程と特徴を明らかにする。これは、研究代表者と研究分担者が、研究協力者(教諭2人)と研究補助者(大学院生2人)に協力を依頼して行う。
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