研究課題/領域番号 |
18H01020
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
中川 一史 放送大学, 教養学部, 教授 (80322113)
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研究分担者 |
藤森 裕治 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00313817)
村井 万寿夫 北陸学院大学, 人間総合学部(子ども教育学科), 教授(移行) (00434465)
小林 祐紀 茨城大学, 教育学部, 准教授 (20599617)
中橋 雄 武蔵大学, 社会学部, 教授 (80389064)
佐藤 幸江 金沢星稜大学, 人間科学部, 教授 (90599614)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学習者用デジタル教科書 / 国語科 / 小学校 / スタンダード / 研修 |
研究実績の概要 |
2018度においては、国内外の国語科デジタル教科書を収集し、教科教育・機能、メディア・リテラシー教育の視点から考察を進めるとともに、国内の先進的な学校の授業視察を行い、担当教師に対しデジタル教科書使用上の工夫・留意点、適した学習場面、児童の変容、更に紙の教科書との関連について聞き取り調査を実施し、スタンダードな活用、研修に関する検討を行うことにあった。 研究成果としては、「国語科学習者用デジタル教科書の実態調査」では、国語科デジタル教科書を活用した学校(S県T市T小学校)の3年生(回答時期により166名か167名)、4年生(141名)に活用前後にアンケートを実施した。「国語科学習者用デジタル教科書のスタンダードな活用シーンの調査」では、学習者;デジタル教科書を活用した3つの授業を比較し、違いが出てくる背景を考察した。「国語科学習者用デジタル教科書に含まれるメディア・リテラシー教育用教材の内容」では、小学校4~6 年の学習者用デジタル教科書において、一部でもメディアに関する用語を確認することができた単元は22 件あり、それに関連するデジタル教材は,25 件確認することができた。メディアに関する用語がある単元でも、それに対応するデジタル教材がない場合もあり、教材を充実させる余地があることが明らかとなった。「読むこと領域でついた力をデジタルで見た時にどう見えるのかの理論研究」では、国語科における読むことの指導概念の拡張として,プログラミングによって構築した教材をもとに,これを観察して制作時のアルゴリズムを解釈する実践を行った。「学習者用デジタル教科書を活用した学習指導を普及するための研修方略の検討」では、デジタル教科書を活用した国語科の学習指導を普及するためには学校全体として、あるいは同学年の教師集団による研修が重要であるとの立場で、研修の全体像をどう考えればよいのか検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小学校の新学習指導要領が2020年度開始となり、2019年度、教科書採択時期である。それに伴い、学習者用デジタル教科書も新しい教科書に合わせた開発、発行となり、予想以上に2018年度は学校での活用研究がしにくい状況であった。しかし、研究の実績に記した通り、5つの小テーマを定めて分担して進めており、新しい教科書に合わせた学習者用デジタル教科書も開発が進んでいる。調査協力の学校、教師も確保しており、今後の進捗は十分に望める。
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今後の研究の推進方策 |
「国語科学習者用デジタル教科書の実態調査」では、国語科デジタル教科書を活用した学校数を増加する。具体的には、S県T市T小学校の4年生、5年生に加え、Y市KI小学校、Y市KA小学校でも活用前後にアンケートを実施する。「国語科学習者用デジタル教科書のスタンダードな活用シーンの調査」では、継続して学習者用デジタル教科書を活した授業を実施している教師のアンケートをもとに、学習者用デジタル教科書の特徴を生かした授業モデル案を作成する。「国語科学習者用デジタル教科書に含まれるメディア・リテラシー教育用教材の内容」では、メディアに関する用語がある単元でも、それに対応するデジタル教材がない場合もあり、教材を充実させる余地があることが明らかにする。「読むこと領域でついた力をデジタルで見た時にどう見えるのかの理論研究」では、大学で実施する中学校国語デジタル教科書を用いた模擬授業実践演習について、小テーマの観点から考察する。「学習者用デジタル教科書を活用した学習指導を普及するための研修方略の検討」では、デジタル教科書におけるスタンダード機能の体験研修と並行して、読むこと領域におけるスタンダードな学習モデルの体験研修を数回繰り返して行う。これにより、領域・単元(d)、機能(b)、学習モデル(a)を1回1回の研修(c)によって習得し、この時点で研修者は自己の授業で実践に移すことが可能になる。例えば、「追試」(研修と同じ領域・単元で授業実践、または研修と同じ領域で類似した単元での授業実践)が可能になる。研修者の中には1回目の研修で実践に移すことができる場合もあり得る。また、数回繰り返して行う研修においては随時、実践報告を組み込むようにする。1回1回の研修の中に組み込んだ実践報告によって研修者とともにつくる研修が可能になる。この段階からも普及・促進につながっていくと考える。
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