研究実績の概要 |
これまでの研究成果を『学士課程教育のカリキュラム研究』にまとめ,東北大学出版会より出版した.同書は,序章:学士課程教育のカリキュラム研究,第1章:人文科学系学科のカリキュラム,第2章:社会科学系学科のカリキュラム,第3章:理学系学科のカリキュラム,第4章:工学系学科のカリキュラム,第5章:農学系学科のカリキュラム,第6章:教育学系学科のカリキュラム,第7章:教養系学科のカリキュラム,第8章:音楽系学科のカリキュラム,第9章:スポーツ系学科のカリキュラム,第10章:専門科目の分析,第11章:入試難易度別の分析,終章:必修単位率とその規定要因,付録:序章において分類の対象とした先行研究一覧,から構成される. 終章では,特に第1章から第9章までの内容を受け,2018年度現在の日本の学士課程カリキュラムにおいては,①必修単位率(必修科目の単位数/卒業要件単位数)が全体では平均35.2%で,分野別平均の最大は音楽系の49.3%,最小は社会科学系の23.8%であること,②必修単位率と関係の深い学科属性として,学科の偏差値やST比に加え,9つの分野のさらに下位にある分野が挙げられること,などが示された. なお学士課程教育のカリキュラム研究に関する今後の展望として,国際比較や経年比較だけでなく,本研究が前提とした枠組みにおけるカリキュラムの主要構成要素(授業科目,割当単位,履修区分,配当年次)間の関係にも注目すべきとの見解を示した.前掲書では主として履修区分の着目したものの,カリキュラムの性質を明らかにするには割当単位や配当年次,さらには授業科目名として現れる教育内容の広さと深さについても分析を進める必要がある.
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