研究課題/領域番号 |
18H01036
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
藤芳 明生 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (00323212)
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研究分担者 |
小林 祐紀 茨城大学, 教育学部, 准教授 (20599617)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教育工学 / ヒューマン・インターフェイス / 障害者支援 / ユニバーサルデザイン / 文字認知障害 |
研究実績の概要 |
平成30年度は研究初年度であるため、見えない2次元コードと音声ペンを活用したマルチモーダル問題のプロトタイプを作成し、問題点の洗い出しを行った。本研究の目的は、単元テストから入試に至るまで、文字認知が困難な児童生徒に対する公平な学力評価を実現するため、見えない2次元コードを活用したマルチモーダル問題を開発することである。 マルチモーダル問題のプロトタイプを作成した。作成作業を効率的に行うため、音声付テストの簡易作成支援アプリを開発した。プロトタイプは、小学生の単元テストを利用して作成することとした。読み上げ音声の作成は朗読ボランティアに依頼し、2次元コードが印刷されたシールを単元テストに貼り付ける形で作成した。 作成したマルチモーダル問題のプロトタイプに対し、栃木県内の小学校6校において評価実験を行った。すべての児童に効果があった訳ではないが、一部の児童には予想以上の効果が確認された。漢字の読み書きや、すでに学習した文章に音声を付けても、効果は限定的であった。しかし、まとめの問題における未読の問題本文に音声を付けることは、非常に効果的であることが分かった。 見えない2次元コード教材一貫制作システムの開発も順調である。最新バージョンをWebページで一般公開した。マニュアルと練習用サンプルデータも作成し、公開した。 本研究で得られた研究成果について、国内外の学会において発表を行うとともに、論文発表を行った。平成30年7月に国際会議ICCHP2018において、視覚障害者向けの触読図作成技術について研究成果を発表し、海外の研究者からも大きな注目を集めることとなった。平成30年11月に日本コンピュータ化学会秋期年会において、化学構造式の集まりの表現方法に関する研究成果を発表した。さらに、Journal of Computer Chemistry, Japanにおいて論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
マルチモーダル問題のプロトタイプの作成を完了し、栃木県内の小学校6校において評価実験まで行うことができたことから、当研究の計画は順調に進んでいると言える。 また、ソフトウェアの開発も順調である。音声付テストの簡易作成支援アプリの開発は、ほぼ完了している。今後、使用者に評価してもらい、改良を続けていくことになる。見えない2次元コード教材一貫制作システムの開発も順調である。最新バージョンをWebページで一般公開しただけでなく、マニュアルと練習用サンプルデータも作成し、公開することができた。この一貫制作システムについても、使用者を募り、評価を行ってもらう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度の評価実験において、マルチモーダル問題の特性がある程度判明したことから、今年度は更にそれらの特性の解明に取り組んでいく予定である。マルチモーダル問題を新たに作成し、栃木県内の小学校6校において評価実験を再開する。 栃木県内の小学校と研究協力関係を築けたことは、宇都宮大学の原田浩司先生に協力していただいたおかげである。今年度以降も評価実験を順調に進めるため、また貴重なご助言をいただくため、原田先生には研究分担者になっていただき、より強力にサポートしていただくこととした。
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