研究課題/領域番号 |
18H01037
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
米田 宏樹 筑波大学, 人間系, 准教授 (50292462)
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研究分担者 |
岡崎 慎治 筑波大学, 人間系, 准教授 (40334023)
宮内 久絵 筑波大学, 人間系, 助教 (40530986)
小林 秀之 筑波大学, 人間系, 准教授 (90294496)
左藤 敦子 筑波大学, 人間系, 准教授 (90503699)
細川 かおり 千葉大学, 教育学部, 教授 (50259199)
涌井 恵 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, インクルーシブ教育システム推進センター, 主任研究員 (80332170)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 知的障害教育カリキュラム / インクルージョン |
研究実績の概要 |
主として、日本の知的障害教育カリキュラム論史と開発・運用の実際に関する検討を行った。 ①2017年・2019年改訂の学習指導要領及び同解説における知的障害教育教科(知的教科)の内容と指導方法・指導形態の特徴について,それ以前のものと比較対照し,考察した。知的教科は,通常教育で設定されている「教科」以前の指導内容を含み,生活に活用するための「教科」以後の内容も含むものである点は,特徴として継承されており,これは,各教科単体よりもむしろ,各教科の内容を相互に関連させてこそ,「特長」になるものである。しかしながら,学校研究報告等からは,実際の学校においては,教科等の別に行う授業と教科等を合わせて行う授業とに関連性をもたせることの難しさや,週時定上に1単位時間ずつ設定された時間割での授業実施の難しさなどを有していることが推察された。知的教科の内容が,人とのかかわりや社会において発揮される能力の発達(キャリア発達)の形で設定されている点も継承されいることから,知的の教科の特徴を活かすカリキュラムマネジメントの確立が必要である。 ②視覚・聴覚障害教育における知的障害教育の展開に関する文献研究を行った。聴覚障害教育においては,「コミュニケーション」「社会性」「日常生活指導」「生活単元学習・作業学習」「寄宿舎」をキーワードに社会的自立をめざした包括的な指導実践(生活教育)が展開されてきたことがうかがえた。 視覚障害教育においては,知的障害を合併している子どもの割合は約8割と非常に高く,重複障害児では知的障害特別支援学校の教育課程の代替の割合が高くなっている。また,高等部本科普通科の重複障害学級では,「就労移行型」「福祉就労型」や「知的代替(教科多・合わせた指導)」「知的代替(合わせた指導中心)」など,各校独自の類型をとっている状況であり,適切な教育課程を未だ模索している現状がうかがえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特別支援学校における知的障害教育カリキュラム適用の実情及び特別支援学級における知的障害教育の実情を明らかにするための質問紙調査および実地調査の調査内容・調査手続きの探索的策定が不十分である。1月以降の新型コロナウィルス感染拡大防止等の事情から,学校現場の参観や実地調査が十分に行えなかった。 各学校の実践報告や都道府県及び市町村教育委員会等が公表している「個別の指導計画」の様式,教育課程編成の届け出様式等の収集・分析での実態把握で可能な限り補足したが,上記理由から,やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルス感染拡大防止の対応に関連して,休講措置の継続が続く場合,あるいは,学校が再開した後の学校現場の業務多忙が続くことが予想されることから,研究代表者及び分担者と学校現場との間の教育実践連携の実績を踏まえて,調査対象の範囲や調査実施方法を検討し,確実な情報収集に努める。また,合わせて,インターネットを用いた調査方法など,学校実践現場への実施負荷を軽減する調査方法についても検討したい。 日本の知的障害教育教科によるカリキュラム及び教育の特徴をより明確にするため,比較対象として米国以外の国・地域の知的障害教育の状況に関する補足的検討を加える。必要に応じて,英国や中国,その他開発途上国等の状況に関する文献研究を実施する。
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