研究課題
1.知的障害教育カリキュラム論史から見たインクルーシブ教育カリキュラムのあり方の検討:日・米・中の知的障害教育の内容と方法の史的展開を整理した。特に日本については戦前昭和期から現在までについて史資料に基づき再検討を行った。その結果、教育水準に基づく教育改革下の米国の状況と日本及び中国の史的展開から、生活指導などの教科外課程に多くの指導時間を割くカリキュラムバランスが知的障害教育の不変かつ普遍の特徴であることが示唆された。さらに日本の学校教育において、教科課程と教科外課程をつなぎ学校生活文脈での学習活動を成立させるための知的障害教科生活科の位置づけを確認し、小学校生活科や総合的な学習の時間の新設が同様の文脈にあることを考察した。教育内容の分科による提示は知的障害教育からの通常教育への接近を意味し、教科等横断による児童生徒の主体的な学習過程へのアプローチは通常教育からの知的障害教育への接近を意味する。特に特別活動等の各領域と各教科を関連付けた活動による学習過程の実現が、知的障害教育と通常教育の方法論の融合によるインクルーシブ教育カリキュラムを成立させる可能性を考察した。また、カリキュラム論史から見ると、知的障害により認知発達の段階が知的障害教科の小学部1段階や2段階の指導に相当する段階にある児童生徒に対しては、各教科等を合わせた授業(分けない指導)が、その学習上の特性とニーズに応じた指導形態であると考えられた。2.特別支援学級教育実践上の課題:知的障害特別支援学級の担当者への聞き取りによる事例的な実態把握では、特別支援学級の教育課程の編成においては、小学校の各教科の内容で授業を実施している状況があり、特別支援学校学習指導要領及び同解説の参照を促し、自立活動と知的障害各教科の内容及び各教科等を合わせた指導形態への理解を推進する必要が示唆された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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