令和3年度は、最終年度の研究として以下の2つの点について研究を行った。 (1)聴覚特別支援学校に在籍する児童の助数詞の獲得について、数えられる事物の特徴や生物カテゴリーにおける典型性の違いが獲得に及ぼす影響を検討した。提示した文の空欄に適切な助数詞を記述させる課題を実施した結果、1)聴覚障害児の助数詞の獲得に困難があること、2)生物カテゴリーにおける典型性が助数詞の獲得に影響すること、3)数えられる事物の特徴に応じて限定的に使用される助数詞の獲得が難しく、特有の方略等を利用して回答すること等が明らかになった。なおこの研究については、日本特殊教育学会第59大会において報告するとともに、論文として公表した。 論文として公表した。 (2)日本語文法項目の難易度を踏まえ、聴覚障害特別支援学校において文法指導を行う際のプリント作成ソフトウェアを試作し、使用感、有用性について検証した。このソフトでは、345の文法表現から特定の項目を選択し、選択肢数などを設定して練習用プリントとして保存できる。特別支援学校の教員30名を対象に、ソフトウェアの使用感、指導における有用性をアンケート形式で調査した結果、画面の視認性と使いやすさに対する評価がやや低い傾向にあり、操作の簡便性、絵や写真の活用、仮名文字の付加等の必要が指摘された。また日本語指導においてICT 活用の重要性を指摘する意見が多かったが、 自主的に子どもがICT機器を操作して学習する時間を設けている例は少なく、 ICT 機器を積極的な活用には至っていないことが指摘された。この研究については、日本特殊教育学会第60大会において報告するとともに、論文としてまとめる予定である。
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