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2018 年度 実績報告書

視覚障害者の円滑な大学進学を目指した高大連携システムの開発と評価

研究課題

研究課題/領域番号 18H01040
研究機関広島大学

研究代表者

氏間 和仁  広島大学, 教育学研究科, 准教授 (80432821)

研究分担者 中野 泰志  慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 教授 (60207850)
田中 良広  帝京平成大学, 現代ライフ学部, 教授 (70392933)
永井 伸幸  宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (50369310)
竹林地 毅  広島大学, 教育学研究科, 准教授 (50332169)
韓 星民  福岡教育大学, 教育学部, 講師 (60643476)
相羽 大輔  愛知教育大学, 教育学部, 講師 (50735751)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード視覚障害 / 特別支援教育 / 高大連携 / 合理的配慮 / 配慮要求
研究実績の概要

本研究は,視覚障害のある高校生が,大学受験,就学に際して,持ちうる力を最大限発揮することができるようになるための,補助具やICT機器のスキル,合理的配慮に関する知識と建設的対話スキルを身につけるための教育プログラム(高大連携プログラム)を開発し,それを全国の視覚特別支援学校に普及することを目的としている。
1年目は,高大連携プログラムの開発とそれに基づいたスキルアップセミナーを開催した。高大連携プログラムで実施する2018年度開催のセミナーをSUS2018と命名した。本プログラムは,研究分担者である視覚障害教育を専門とする大学教員6名がコアメンバーとなり立案を行った。SUS2018の柱は,大学進学に際して「要望」するためには,「知る」ことが前提となることを踏まえ,特に視覚障害の生徒の特性を考慮して,体験的に「知る」ことと,知ったことを生かすための技術を「身につける」こととした。知ったことにより生じた課題を解決するための手立てを身につけることで,より自信を持って大学に挑戦することができると考えた。
SUS2018の開催期日は,2018年8月11~13日,慶應義塾大学の教育・研究施設と宿泊施設を利用して,2泊3日で行われた。参加者は,盲学校長会の協力を得て,全国の視覚特別支援学校を通じて行なった募集に対して応募した弱視生4名(高校3年),全盲生2名(高校1・2年)であった。
スキル調査とそれに基づいたスキルアップセミナー,アンケート及び事後レポートより,本セミナーの参加で,大学での就学で利用するICTスキルを知り,それが身についたと考えられる。進学を目指す視覚障害のある高校生への教育相談等においては,少なくとも大学や自身を知ること,入試・補助具やICTスキルの知識・技能を,大学で求められるスキルに基づいて伝えること,つまりcompetency basedな課題設定が大切であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画では,1年目にプログラムの立案とパイロット実施,2年目で本実施と評価,3年目で視覚特別支援学校での実施と評価を掲げている。本年度は,プログラムの立案,実施,評価を行なっており,計画通りに進んでいると評価した。

今後の研究の推進方策

昨年度実施したスキルアップセミナー(SUS2018)を元に,以下のことを実施する。
【教育プログラムの修正】教育プログラムの修正は、行動評価の改善と、補助具・ICT機器スキルアップセミナーの改善の2つの点で実施する。行動評価はClass2018では、大学入学後のタスクを想定し、5つの内容を設定し、参加者の実施状況を評価することで行動評価を実施した。Class2018の行動評価の項目および内容を精査し、実行性の向上、タスクの重複の解消、初歩的なステップの導入を目的とした改善を実施したい。併せて、行動評価は事前に実施し、宿泊型セミナーの際には、補助具・ICT機器スキルアップセミナーに十分な時間が取れるように修正したい。補助具・ICT機器スキルアップセミナーは、Class2018では、完全個別対応で実施した。この方法はニーズにきめ細やかに対応できる反面、一度に対応できる人数が少なくなる短所がある。そこで、今年度は、大人数でも実施できるプログラムへと修正を行い、実施する予定である。
【教育プログラムの拡充】高大連携のためのプログラムは、全国の視覚特別支援学校を拠点としたサービスと連動することを想定している。そのため、今年度は全国の視覚特別支援学校でセンター的機能を担当している教員対象のセミナーを実施し、その効果を検証する。
【視覚特別支援学校教員の意見聴取】今年度のセミナーには、視覚特別支援学校の教員にも参加を依頼し、視覚特別支援学校での実施を想定した改善点について検討を行う。
【追跡調査】Class2018で高校卒業生が4名いる。この4名の中で同意の得られた者を対象に、教育プログラムの内容が、大学進学や修学に与えるインパクトについて調査し、教育プログラムの改善へと反映させる。

  • 研究成果

    (23件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (7件) 学会発表 (12件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 弱視の高校生を対象にした広大連携プログラム2019

    • 著者名/発表者名
      氏間和仁・中野泰志・永井伸幸・田中良広・竹林地毅・韓星民・相羽大輔・大島研介
    • 雑誌名

      弱視教育

      巻: 56(4) ページ: 20-29

  • [雑誌論文] 視覚障害者(弱視者)に対する試験提示方法の検討2018

    • 著者名/発表者名
      大宅健太郎・氏間和仁・中野泰志
    • 雑誌名

      弱視教育

      巻: 56(2) ページ: 8-15

  • [雑誌論文] 視覚障がい者のWebアクセシビリティに配慮した医療機関Webサイト標準化仕様の提案2018

    • 著者名/発表者名
      田中武志・氏間和仁・津久間秀彦・池内実・藤田理恵
    • 雑誌名

      電子情報通信学会 信学技報 WIT

      巻: WIT201834 ページ: 73-78

  • [雑誌論文] 弱視教育におけるタブレット端末とデジタル教科書の活用ーPDF版拡大図書(教科書)とUDブラウザを用いた弱視児童生徒のためのデジタル教科書提供システムー2018

    • 著者名/発表者名
      中野 泰志・氏間 和仁・田中 良広・韓星民・永井 伸幸
    • 雑誌名

      弱視教育

      巻: 56(1) ページ: 33-43

  • [雑誌論文] 弱視教育におけるタブレット端末とデジタル教科書の活用(第2回)ーUDブラウザ用の自作教材の作成方法とテスト・試験での利用方法2018

    • 著者名/発表者名
      中野 泰志・永井 伸幸・氏間 和仁
    • 雑誌名

      弱視教育

      巻: 56(2) ページ: 20-28

  • [雑誌論文] 多様性と協働を保障する授業の開発(II)―その児童独自の表現を引き出す手立てに着目して―2018

    • 著者名/発表者名
      髙橋望 圓城寺佐知子 竹林地毅 権藤敦子 寺内大輔 森保尚美 長山弘 福田倫太郎 吉﨑優葵
    • 雑誌名

      広島大学学部・附属学校共同研究機構研究紀要

      巻: 46 ページ: -

  • [雑誌論文] The Development of Lesson Plansto Enable Diversity and Collaboration (II): Focusing on Ways to Elicit Unique Modes of Expression of Each Student2018

    • 著者名/発表者名
      Nozomu Takahashi, Sachiko Enjoji, Takeshi Chikurinji, Atsuko Gondo, Daisuke Terauchi Naomi Moriyasu, Hiroshi Nagayama, Rintaro Fukuda, Yuki Yoshizaki
    • 雑誌名

      THE ANNALS OF EDUCATIONAL RESEARCH

      巻: 46 ページ: -

  • [学会発表] 拡大されたPDFの読書速度は遅いのか?:デジタル・リーディング(DR)における固定形式の利得2018

    • 著者名/発表者名
      氏間和仁・中野泰志
    • 学会等名
      第19回日本ロービジョン学会学術総会
  • [学会発表] ロービジョン外来でのタブレット活用の有用性について2018

    • 著者名/発表者名
      西山幸代・氏間和仁・青木弘美・上原知・奈良井章人・木村聡
    • 学会等名
      第19回日本ロービジョン学会学術総会
  • [学会発表] 点字レディネス評価ツールの開発と評価2018

    • 著者名/発表者名
      氏間和仁・中野泰志
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第56回(大阪大会)
  • [学会発表] 歩行指導に活用するためのベアリング評価法の検討2018

    • 著者名/発表者名
      門脇弘樹・牟田口辰己・氏間和仁
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第56回(大阪大会)
  • [学会発表] 視覚障害者のための補装具・日常生活用具に関する実態調査(1):視覚障害当事者調査2018

    • 著者名/発表者名
      三宅 隆・中野 泰志・竹下 義樹・五島 清国・橋井 正喜・藤井 貢・畑岸 和夫・郷家 和子・荒川 明宏・奈良 里紗・小泉 大介・籠宮 純・守屋 智恵
    • 学会等名
      第19回日本ロービジョン学会学術総会
  • [学会発表] 視覚障害者のための補装具・日常生活用具に関する実態調査(2):自治体・メーカー・販売店調査2018

    • 著者名/発表者名
      三宅 隆・中野 泰志・竹下 義樹・五島 清国・橋井 正喜・藤井 貢・畑岸 和夫・郷家 和子・荒川 明宏・奈良 里紗・小泉 大介・籠宮 純・守屋 智恵
    • 学会等名
      第19回日本ロービジョン学会学術総会
  • [学会発表] データ保護や試験における機能制限を考慮した教科書・教材閲覧アプリの改良2018

    • 著者名/発表者名
      中野 泰志・氏間 和仁・田中 良広・三科 聡子・韓星民
    • 学会等名
      第27回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
  • [学会発表] 地域に点在して学ぶ視覚障害児・者への支援(2)台湾との比較を通して日本の在り方を考える2018

    • 著者名/発表者名
      中野 泰志・氏間 和仁・呉 純慧・青木 隆一・田中 良広
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第56回大会
  • [学会発表] 紙媒体と同一内容のデジタル教科書は視覚障害のある生徒にとって有効か?:利用実態調査からの考察2018

    • 著者名/発表者名
      中野 泰志・氏間 和仁・田中 良広・永井 伸幸・韓 星民
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第56回大会
  • [学会発表] 多様性と協働性を保障する授業の開発-知的障害特別支援学級における音楽活動を中心に-2018

    • 著者名/発表者名
      竹林地毅
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第56回大会
  • [学会発表] 特別支援学校(知的障害)における社会資源の活用とカリキュラム・マネジメント2018

    • 著者名/発表者名
      竹林地毅 吉原恒平 定本有記
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第56回大会
  • [学会発表] 生活単元学習の授業づくりと学習評価の活用に関する調査2018

    • 著者名/発表者名
      片岡愛 竹林地毅
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第56回大会
  • [図書] 新訂版 新学習指導要領(平成29年告示)対応 視覚障害教育入門Q&A2018

    • 著者名/発表者名
      全国盲学校長会 氏間和仁 中野泰志 永井伸幸 田中良広 ほか120名
    • 総ページ数
      296
    • 出版者
      ジアース教育新社
    • ISBN
      10: 4863714726
  • [図書] 特別支援学校新学習指導要領ポイント総整理特別支援教育2018

    • 著者名/発表者名
      丹野哲也 名古屋恒彦 井上昌士 無藤隆 横倉久 武富博文 明官茂 清水潤 山中ともえ 滑川典宏 笹森洋樹 松見和樹  竹林地毅 小倉京子 村上直也 長江清和 大澤津里沙 沖口祥子 神谷由里奈 千葉聡 三浦綾 鏡深雪 長谷川基 山﨑麻子
    • 総ページ数
      140
    • 出版者
      東洋館出版社
    • ISBN
      978-4-491-03579-6
  • [図書] 特別支援教育の授業の理論と実践2018

    • 著者名/発表者名
      冨永光昭 今枝史雄 藤井梓 山本晃 平沼源志 須田正信 的場恵美 和田実穂子 長澤正樹 竹林地毅 平賀健太郎 西上優子 真城知己 金森裕治 西山健 中村悟利 山田充 竹田真実子 荒川正敏 長澤洋信 千葉恵美 野本真理子 外15名
    • 総ページ数
      330
    • 出版者
      あいり出版
    • ISBN
      978-4-86555-052-8
  • [備考] 視覚障害高校生のための高大連携プログラム

    • URL

      https://home.hiroshima-u.ac.jp/ujima/src/sus.html

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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