| 研究課題/領域番号 |
18H01043
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| 研究機関 | 日本大学短期大学部 |
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研究代表者 |
山口 雄仁 日本大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00182428)
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| 研究分担者 |
藤芳 明生 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (00323212)
鈴木 昌和 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 名誉教授 (20112302)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | インクルージョン / デジタル教科書 / バリアフリー / 視覚障害 / 発達性読字障害 |
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| 研究実績の概要 |
本課題研究を構成するA, B各研究グループの令和元年度の達成点は以下の通りである。
A. デジタル教科書製作・編集・閲覧ソフトウェア開発グループの山口は，非英語圏では視覚障害者の理数系アクセシビリティが必ずしも十分とは言えない実情を踏まえ，これまで開発してきたマルチメディアDAISY/EPUB3形式バリアフリー・デジタル教科書製作・編集・閲覧ソフトウェアの多言語化をさらに進めた。多様なローカル言語に対応するため昨年度開発した，「ユーザーがプログラム開発者の手を借りずに，ソフトウェアを自らの言語用にカスタマイズできる機能」を活用し，世界各地の研究協力グループとともにチェコ語・イタリア語・カンナダ語（インド公用語の一つ）・ギリシャ語・スペイン語・ドイツ語・トルコ語・フランス語版の製作を進めた。また，日本語版について，漢字のルビ自動生成機能の改良など，発達性読字障害のある児童・生徒のさまざまなニーズに応えられるよう，ソフトウェアの機能強化を行った。
B. デジタル教科書用文書解析・変換システム開発グループの鈴木は，深層学習による漢字・仮名・英数字・Latin文字・数学記号を一括で含めた文字認識をするための大規模な学習用データベースを新たに構築し，来年度科学文書用ＯＣＲソフトウェアに組み込む予定である。また，PDFに含まれている文字のフォント情報を利用した見出し情報取得と数式認識を向上させ，シングルカラムのＰＤＦ文書については殆ど誤りのない認識を実現した。藤芳は，令和2年度から小学校の教科書が改訂されることを受け，教科書のPDFからレイアウトを自動解析し，それぞれの構成要素を適切な順序に並び替え，属性を決定するソフトウェアの開発などを行った。その結果，これまでレイアウト解析が困難であった，目次，漢字一覧，索引などのページもうまく解析できるようになった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は，本課題研究を構成する各研究グループにおいて，開発中のソフトウェアの改良や関連する調査・研究を概要に示した通り概ね順調に実施した。初等・中等教育における教科書・テスト・配布プリントなど多様なデジタル教材をバリアフリー化するオールインワン・システムの研究開発が一層進んだと言える。査読のある論文投稿，イタリア・ボローニャで開催されたThe Association for the Advancement of Assistive Technology in Europe (AAATE) 2019など国際会議での成果報告も，研究成果が順調に上がっていることを示している。
さらに，AAATE2019でイタリアを訪問した機会にボローニャでギリシャ・アテネ大学やフランス・パリ第8大学の研究協力者，トリノでトリノ大学・ミラノ大学の研究協力者と研究打ち合わせを行い，我々が開発している障害者支援技術をギリシャ・フランス・イタリアで導入する上でのさまざまな課題について検討を行った。その成果として本年度後半にいくつか新たなソフトウェア改良を実施し，ChattyInfty3以外の支援技術，たとえばChattyBooksやInftyReader Liteについても日本語以外の他言語版を試作しベータ版として公開した。
令和2年2月22日，23日には東京駿河台の日本大学理工学部を会場として，日本学術振興会・令和元年度科学研究費補助金による「情報アクセシビリティをめぐる諸問題に関する研究集会」を開催した。本課題研究に関連する話題について数多くの発表があり，本課題研究グループからも計5件の成果報告を行った。科学情報のアクセシビリティ分野に加え，情報アクセシビリティ関連の広範な話題について，最新動向把握と有意義な意見交換・研究交流を行うことができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
初等・中等教育における教科書・テスト・配布プリントなど多様なデジタル教材をバリアフリー化するオールインワン・システムの開発に向けて，本課題研究を構成するA, B各研究グループでは，次の計画に沿って来年度研究を遂行していく。
A(1) 代表者の山口は川根・駒田とともに，マルチメディアDAISY/EPUB3形式バリアフリー・デジタル教科書製作・編集・閲覧ソフトウェアChattyInfty3について，きめの細かいカスタマイズ機能などの改良を行うとともに，これまでに開発したものに加え，一層広範なローカル言語版の開発に向けて，機能強化すべき点・新たに必要となる要素技術の開発に引き続き取り組む。
(2) さらに，アクセシブルEPUB3（テキストベースとマルチメディア）など汎用の電子書籍形式や，音声が埋め込まれたHTML5である"ChattyBook"など昨年度までに新たに我々が開発したものを含むさまざまなアクセシブル電子書籍形式について，それらの長所・短所・改良方法や，どの形式がどのタイプの障害のある児童生徒に向いているか，それぞれに準拠した適切な指導方法はどのようなものかなど，特徴・優位性・改良すべき点について引き続き調査検討する。
B(1) 分担者の鈴木は金堀とともに，昨年度に引き続き，多様なＰＤＦやスキャン画像のレイアウト解析に取り組むとともに，アクセシブルな電子図書の仕様・生成方法に関する調査を行う。藤芳は引き続き，文法処理技術を用いたPDF文章の自動レイアウト解析に取り組むとともに，音声認識技術を用いた音声データの自動編集について調査を行う。
(2) 相澤は，形態素解析などの処理技術を応用したハイライト区切りの自動カスタマイズや，発達障害のある児童生徒の文章理解を支援する要約自動作成技術などの研究を継続する。
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