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2019 年度 実績報告書

誤り概念の体系に基づく看護思考法診断学習支援システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 18H01051
研究機関和歌山大学

研究代表者

松田 憲幸  和歌山大学, システム工学部, 准教授 (40294128)

研究分担者 京極 真  吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (50541611)
小倉 光博  和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (90326364)
池田 満  北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80212786)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード自己調整学習 / メタ認知 / 看護教育 / メタ思考 / ワークショップ / 看護教育 / オントロジー工学
研究実績の概要

誤りは,タスクの遂行にとって妨げだが,学習にとって理解を深める重要な契機である.病院看護師が患者・家族の価値と医療の価値の間で「答えのない問題」 について考えるとき,自らの思考の誤りを自分で診断できることが肝要である.診断のために思考を表現した上で,どのように誤りに気づけるのか?どのように理解が深められるか?その指導はどのような教材によって支えるべきか?に答えるべく,本研究は,病院組織と連携して,思考の誤りの体系化を基礎として,思考の誤りを自ら認識し,それを学習資源として自ら学ぶ力を育成する手法を構成する.このために,まず,看護思考オントロジーを構築し,学習指導モデルを構成して,学習支援システムを開発し,看護思考誤りの事例ベースの充実を達成する.思考の誤りを過去の看護事例と関連づけながら系統立てて学び,例えば,医療者間の申し送りをより有意義にでき,また,患者・家族とのコミュニケーションを自ら診断・修正できるようになると期待できる.
申請者らが行った看護師向けの思知表現を用いた教育実践で収集された,看護思考ケース(100ケース)と,その添削データを分析し,看護思考誤りのオントロジーを構築し、洗練化した.オントロジーの構築にあたっては,思考誤りの特性・誤りの気づきやすさ(その理由),誤りの同定方法に関する概念を峻別し,誤りを学習資源とする学習指導法の基礎とした.
また,段階的な学習目標の設定と,それに対応した誤り同定方法の難易度を考慮した演習課題の配列を行い構成した第1版の洗練化を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大学病院看護組織との連携を元に,構築した看護思考誤りオントロジーの洗練化した。また、誤り同定法の教示方法,例示,演習の標準的構成をモデル化し、段階的な学習目標の設定と、誤り同定方法の難易度を考慮した演習課題の配列を行い,学習指導モデルを洗練化できた。また、学習支援システムに、病院組織で作成され たケースを院内で共有し,学習に活用するプロセスを支援する機能(共有支援機能)を設計した。最後に、教育効果の評価・看護思考誤りの事例ベースを集積するための評価項目の整理に着手できた。以上の点から、順調な進展と判断した。

今後の研究の推進方策

引き続き,大学病院看護組織と連携体制を維持し,これまで構築した看護思考誤りオントロジー、および、学習指導モデルを洗練化し、学習支援システムを機能拡張し、連携する病院組織への学習支援システムの運用について検討する。また、教育効果の評価,看護思考誤り事例ベースの充実を進める。また、教育効果の評価は,メタレベルの思考に関する認知度に関する変化を量的データとして収集するとともに,学習直前・直後,および1年経過時のインタビューによる質的データを収集し,それらを対比・分析を予定する。また、看護思考誤りの事例ベースを構築に向け、これまで集積してきた看護思考の事例について、メタレベルの認知度の変化量を集め、さらに過去の研修参加者のインタビューの準備を進める。
対面による研修やインタビューの実施に困難を来す場合は、遠隔による指導・学習のための教育プログラムや教材の開発や、ネットワーク会議を通じた事例の分析、研修後の追跡調査の実施を検討している。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] リハビリテーションスタッフへの作業機能障害の種類と評価(Classification and Assessment of Occupational Dysfunction:CAOD)の妥当性と信頼性の検証2020

    • 著者名/発表者名
      三宅優紀 , 荻野学芳 , 荻野景規 , 京極 真
    • 雑誌名

      日本予防医学会雑誌

      巻: 14 ページ: 7-13

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Japanese translation and cross-cultural validation of the Adult Social Care Outcomes Toolkit (ASCOT) in Japanese social service users2019

    • 著者名/発表者名
      Nakamura-Thomas Hiromi、Morikawa Mie、Moriyama Yoko、Shiroiwa Takeru、Kyougoku Makoto、Razik Kamilla、Malley Juliette
    • 雑誌名

      Health and Quality of Life Outcomes

      巻: 17 ページ: 59

    • DOI

      10.1186/s12955-019-1128-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Structural relationships among occupational dysfunction, stress coping, and occupational participation for healthcare workers.2019

    • 著者名/発表者名
      Mutsumi Teraoka , Makoto Kyougoku
    • 雑誌名

      Work

      巻: 64 ページ: 833-841

    • DOI

      10.3233/WOR-193045

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Japanese Community-Living Older Adults' Perceptions and Solutions Regarding Their Physical Home Environments2019

    • 著者名/発表者名
      Nakamura-Thomas Hiromi , Kyougoku Makoto , Bonsaksen Tore
    • 雑誌名

      HOME HEALTH CARE MANAGEMENT AND PRACTICE

      巻: 31 ページ: 16-22

    • DOI

      10.1177/1084822318

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Causation: A functional perspective2019

    • 著者名/発表者名
      Toyoshima, Fumiaki; Mizoguchi, Riichiro; Ikeda, Mitsuru
    • 雑誌名

      Applied Ontology

      巻: 14(1) ページ: 43-78

    • DOI

      10.3233/AO-190206

    • 査読あり
  • [学会発表] 看護思考の誤り診断を促がすライティングツールの開発2019

    • 著者名/発表者名
      峠貴文,松田憲幸,田中孝治,池田満
    • 学会等名
      第 44 回 教育システム情報学会 全国大会
  • [学会発表] 多肢選択式問題における正選択肢と誤選択肢の弁別を意識した作問学習に向けた調査2019

    • 著者名/発表者名
      高橋龍哉, 小川修史, 松田憲幸, 平嶋宗, 瀧寛和
    • 学会等名
      第35回日本教育情報学会年会
  • [学会発表] 作業に根ざした実践2.0 作業療法の専門性を発揮し、多職種連携を促す新たな理論2019

    • 著者名/発表者名
      京極 真
    • 学会等名
      新潟県作業療法学会
  • [学会発表] 信念対立解明アプローチ 多職種での意見の対立を解明し、効果的な連携を目指す2019

    • 著者名/発表者名
      京極 真
    • 学会等名
      新潟県作業療法学会
  • [学会発表] 地域在住高齢者がいだく物理的家屋環境に関するリスク認識と解消法2019

    • 著者名/発表者名
      中村 裕美 , 京極 真 , Tore Bonsaksen
    • 学会等名
      日本作業療法学会抄録集
  • [学会発表] ポジティブ作業に根ざした実践(POBP)における介入効果の要因の検討2019

    • 著者名/発表者名
      野口 卓也 , 京極 真
    • 学会等名
      日本作業療法学会抄録集
  • [学会発表] 作業療法学生の自己調整学習を促すプログラムの開発に関する予備的研究2019

    • 著者名/発表者名
      椿原 一郎 , 狩長 弘親 , 岩田 美幸 , 京極 真 , 竹林 崇
    • 学会等名
      日本作業療法学会抄録集
  • [学会発表] 脳卒中者の日常生活における麻痺手の使用、不使用に関する主観的条件の探索的検討2019

    • 著者名/発表者名
      塚田 遼 , 京極 真
    • 学会等名
      日本作業療法学会抄録集
  • [学会発表] 精神科作業療法における作業に根ざした実践の介入戦略の質的解明2019

    • 著者名/発表者名
      山下 高介, 京極 真
    • 学会等名
      日本作業療法学会抄録集
  • [学会発表] 身体障害を有する地域在住高齢者の作業的挑戦の潜在クラス分析と各クラスに関連する要因の検討2019

    • 著者名/発表者名
      諸星 成美, 京極 真
    • 学会等名
      日本作業療法学会抄録集
  • [学会発表] 作業機能障害の種類に関するスクリーニングツールと主観的尺度の関連性の検討2019

    • 著者名/発表者名
      清家 庸佑, 京極 真, 寺岡 睦
    • 学会等名
      日本作業療法学会抄録集
  • [学会発表] リハビリテーション連携のための信念対立解明アプローチ2019

    • 著者名/発表者名
      京極 真
    • 学会等名
      The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
  • [図書] 作業で創るエビデンス : 作業療法士のための研究法の学びかた2019

    • 著者名/発表者名
      友利 幸之介 , 京極 真 , 竹林 崇
    • 総ページ数
      325
    • 出版者
      医学書院
    • ISBN
      9784260036627

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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