研究課題/領域番号 |
18H01051
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
松田 憲幸 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (40294128)
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研究分担者 |
京極 真 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (50541611)
小倉 光博 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (90326364)
池田 満 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80212786)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自己調整学習 / メタ認知 / 看護教育 / メタ思考 / ワークショップ / オントロジー工学 |
研究実績の概要 |
看護思考の誤りの体系を基礎として,思考の誤りを自ら認識し,それを学習資源として自ら学ぶ力を育成する手法を構成することを目指し、連携する大学病院にて遠隔の看護思考法研修を2回実施した。研修は社会情勢や病院の勤務状況を考慮し、第1回を11月28日から12月19日まで、第2回を12月19日から翌1月24日までとし、それぞれ、看護師4名と5名が参加した。いずれも、病院看護部の指導者2名もオブザーバとして参加した。看護業務経験9件について、看護思考を振り返り、誤りを診断し、指導を行い、参加者で思考について議論した。 これまで構築してきた看護思考オントロジーについて、過去の指導履歴も含めて分析を行い、問題指摘を15に(例:思考のつながりが不完全のため、論証に使われていないステートメントがある)、その原因同定を15に(例:その原因は論理構造の振り返りに見落としがあったため、推定や判断の根拠が記述されなかった)、その解決助言を17(例:推定・判断・結果を表記するときは、常に根拠・原因を考える習慣をつけ、そのことをしっかり記述しましょう)に、その効果示唆を17(例:そのように考えると、より緻密に思考を吟味する習慣が形成されます。また、思考として明示するべき重要な要素と、間接的・文脈的・暗黙的な要素を区別して考えることができる)に洗練化することができた。この成果を日本教育工学会全国大会にて口頭発表し、看護資格を有する聴講者を含めた議論を通して、この妥当性を確認できた。これら分析結果を元に学習指導モデルを構築して、これを基盤とし、これまで開発してきた学習支援システムと連動する学習支援システムを設計した。また、申請者らが研究を開始した2010年度以降、複数回、参加した経験を持つ看護師の指導履歴を見ることで研修後の学習効果を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で対面での研修の実施は困難となったが、遠隔による研修を2回開催できたことから、目標としていた、当該年度実施した研修結果を踏まえた学習指導モデルの洗練化、および、既存の研修システムと連動した学習支援システムの設計、過去の研修を通して複数回参加者の誤りの変遷の確認を達成することができた。以上のことから、順調な進展と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、病院組織との連携体制を維持しつつ、コロナ禍における研修の開催方法を協議して研究の継続方法を確立する必要がある。また、研修全体で活用する各種システムについて、オンライン研修向けに再設計し、より学習を促す支援機能を検討する必要がある。また、病院看護部と連携して、過去の研修参加者の学習意欲の刺激の方法について協議する。
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