研究課題/領域番号 |
18H01056
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
美馬 のゆり 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (00275992)
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研究分担者 |
Vallance Michael 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (00423781)
室田 真男 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (30222342)
市川 尚 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (40305313)
渡辺 雄貴 東京理科大学, 教育支援機構, 准教授 (50570090)
美馬 義亮 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (60325892)
根本 淳子 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (80423656)
鈴木 克明 熊本大学, 教授システム学研究センター, 教授 (90206467)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自己調整学習 / 共調整学習 / 成人学習 / 学習環境 / デザイン原則 |
研究実績の概要 |
本研究では、21世紀に必要な成人の能力を明らかにし、教育工学の観点から自己調整学習の理論を発展させた「共調整学習」「社会的に共有された調整学習」の概念をもとに、異なる学習場面、大学教育(フォーマル)、職場研修(ノンフォーマル)、地域活動(インフォーマル)に共通して利用可能な教材開発を行い、成人学習環境のデザイン原則を構築することを目的としている。 「自己調整学習者を育てる21世紀の成人学習環境デザイン原則の構築」のため、調査研究を行った。 ①21世における成人に必要な能力を、書籍や大学や企業のカリキュラム、OECDやユネスコなどの国際間組織の報告書や提言書、関連組織におけるインタビューなどから明らかにした。2018年OECDはEducation 2030プロジェクトの成果を簡潔にまとめた中間報告書「教育とスキルの未来」を発表した。この中では、これまでの教育目標をさらに広げ、従来の主要能力のカテゴリーに、変革を起こす能力のカテゴリーを追加した。変革を起こす能力は、新しい価値を創造する力、緊張を和らげジレンマを解消する力、責任ある行動をとる力、という3つの要素からなる。この中には、自己調整、自己コントロール、自己効力感、責任感、問題解決、適応力などを含んでいる。 ②共調整学習、社会的に共有された調整学習に関する関連研究を調査し、①の能力の獲得に必要な前提知識、要素技術を探し、それらの新規性や優位性について検証した。本研究の理論的側面として、土台となる自己調整学習の概念は、学習を個人の中のものとする学習観に根差している。近年の認知心理学、学習科学などで起こった学習観の転換、学習を実践共同体への参加のプロセスとみなすことや、協調的な学習に対して、自己調整学習の概念には限界がある。そこで、複数人の活動に着目した共調整学習や、地域活動などがモデルとなりうる社会的に共有された調整学習に着目し、これらの違いを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度初めに予定していた、「自己調整学習者を育てる21世紀の成人学習環境デザイン原則の構築」のため、①21世紀に必要な成人の能力の特定、②共調整学習研究のサーベイに関する調査研究を行うことができた。またこれらの結果の中間報告を学会で発表し、さらには国際学会での招待講演、年度終盤には国内学会での招待講演を受けるなどとして、その成果を発表することができた。このことは、本研究の進行が、おおむね順調であることとともに、その内容は、予想以上に、国内外の学会から期待されているものであるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、 ①21世紀に必要な成人の能力の特定および、②共調整学習研究のサーベイを行った。①では、「21世紀型スキル」「デザイン思考」「計算論的思考」「エンジニアリング思考」などに共通する、21世における成人に必要な能力を、書籍や大学や企業のカリキュラム、OECDやユネスコなどの国際間組織の報告書や提言書、関連組織におけるインタビューなどから明らかした。②では、共調整学習、社会的に共有された調整学習に関する関連研究を調査し、①の能力の獲得に必要な前提知識、要素技術について検討した。 令和元年度は、前年度の結果を踏まえ、③カリキュラム開発を行うと同時に、①②の見直しを実施する。③成人の21世紀に必要な能力獲得に関わる、大学におけるカリキュラム、職場研修のカリキュラム、地域活動における学習について、国内外の事例を調査する。それらを②の観点から分析する。①の内容をもとに、自己調整学習を育てるため、複数人の活動に着目した共調整学習、地域活動に着目した社会的に共有された調整学習を促進させるカリキュラムの開発を行う。これらを令和2年度に予定されている書籍、eラーニング教材、プロジェクト型ワークショップの開発を見据えて研究開発に取りかかる。本研究ではサブグループを組織して展開する。各グループの研究の進捗と成果を共有するため、年に2回程度の全体会を合宿形式で行うことを予定している。
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