研究課題/領域番号 |
18H01084
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 知靖 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30251614)
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研究分担者 |
山下 洋 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (20253403)
實藤 和佳子 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (60551752)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 発達障害 / コホート研究 / 発達支援 / 項目反応理論 / 教育心理学 |
研究実績の概要 |
発達障害の早期発見は社会的に重要な課題であるが,既存の自閉症スペクトラム障害スクリーニングテストは,テストの信頼性と高機能自閉症児に対するスクリーニング精度が低いという問題点がある。そこで,本研究課題では,共同注意という視点を重視し,3歳児を対象とした新たな自閉症スペクトラム障害スクリーニングテストの試作版を作成した。 試作版を作成するにあたっては,DSM-5の診断領域である①社会的コミュニケーションの障害と②興味の限局と常同的・反復的行動を考慮し,糸島プロジェクトで長年使用してきた1歳半問診票において1歳半検診で自閉症と診断された乳幼児の反応から項目を選定ならびに作成した。さらに糸島市役所健康づくり課母子保健係保健師の協力を得て,乳幼児健診・発達相談・療育事業におけるカルテ・成長の記録等からスクリーニングに有用であると考えられる項目を抽出し,試作版に反映させた。 試作版は,養育者が検診において容易に回答可能な15項目からなるマススクリーニング向け問診票I,リスク児の保護者に保健師または心理士が半構造化面接も行いやすい15項目からなる問診票IIを作成した。特に問診票IIによって信頼性の高いデータ収集が可能になり,さらに保護者と検査者が親しく面接をすることによってリスク児の理解と療育の場へいざなう信頼関係を醸成できる可能性もある。 この問診票の試作版を糸島市の協力を得て3歳児検診,子育て支援センターに来訪した養育者に対して実施しており,回答のしやすさなどのフィードバックをもとに更なる改定を行い,大規模な本調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
連携先の糸島市における乳幼児検診や子育て支援センターでの調査許可を正式に得るまで時間を要し,調査自体は開始したが,年度当初に予定していた規模の調査とはならなかった。ただし,糸島市から正式に許可を得たので,次年度以降,期間内に予定通りの調査やデータ分析を行うことが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
連携関係にある糸島市において研修会や発達コロキウムを開催し,糸島市の養育者,保健師ならびに保育士に対して本研究課題で開発している自閉症スペクトラム障害早期スクリーニングテストの社会的意義を説明し,地域全体として取り組むべき課題として認識してもらい,更なる調査協力を仰ぐ。また,今後予定している多職種連携による発達支援に関する研究にもつなげる予定である。
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