研究課題/領域番号 |
18H01087
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡田 智 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (10458862)
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研究分担者 |
玉木 宗久 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 発達障害教育推進センター, 主任研究員 (00332172)
加藤 弘通 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20399231)
大谷 和大 北海道大学, 教育学研究院, 講師 (20609680)
西尾 祐美子 畿央大学, 教育学部, 講師 (50801594)
鳥居 深雪 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (90449976)
守 巧 こども教育宝仙大学, こども教育学部, 教授 (90609843)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ウェクスラー検査 / 社会情動発達 / 実行機能 / CHC理論解釈システム / 発達障害特性 / 検査行動 |
研究実績の概要 |
(1)WISC-Ⅳの自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どものWISC-Ⅳの再検査信頼性の確認。この研究ではASDのある子どもの2年間間隔をあけた再検査データを分析し,年齢段階により,長期的安定性が低下する測定値を明らかにした。海外の研究誌に投稿中である。 (2)発達障害特性としての社会情動的機能を測定できる尺度(SEDC)の基準関連妥当性,再検査信頼性,評定者間信頼性の検証。信頼性,妥当性の分析は終わり,現在,論文を執筆中である。 (3)WISC-Ⅳにおける因子構造をキャテル・ホーン・キャロル理論から検討,ASDのサブタイプをCHC理論因子からとらえる。確認的因子分析及びクラスター分析をおこなった研究は教育心理学研究に受理された。2021年度掲載予定。また,ASDとその他の臨床群の多母集団因子分析による因子構造の確認を行い,「子ども発達臨床研究」に掲載した。さらに,ASDの診断基準の歴史的変遷とそれに伴うWISC認知プロフィールの関係について展望し,海外研究誌に掲載した。 (4)WISC-Ⅳ指標得点と検査行動の関連についての分析。共分散構造分析を用いて,発達障害のある子どものWISC-Ⅳ指標得点と検査行動,保護者評定の発達障害特性尺度を分析した。この研究成果は,「児童青年精神医学とその近接領域」に受理され,2021年に掲載される予定である。 (5)WPPSI-Ⅲ,検査行動,発達障害尺度の関連の分析。臨床データの収集,分析が終わり,現在,国内研究誌に投稿している。WPPSI-ⅢのCHC理論に準拠した因子構造の検証は論文化しており,「子ども発達臨床研究」で発表した。 (6)公立小学校及び北海道大学で発達障害の子どもを対象としたグループ療育支援や個別の事例でのアセスメントの臨床適用研究。新型コロナ感染症の流行もあり,臨床場面への適用は断念せざるを得なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グループ及び個別臨床場面で,WISC-Ⅳを中心とした包括的アセスメントの適用は,感染症パンデミックの影響で実施できなかった。しかし,その他の研究セクションでは論文化,投稿,採択まで進み,順調であると言える。WISC-Ⅳの研究の中で,低年齢児では知能検査が長期的安定性に欠けることなど課題が浮上し,幼児用知能検査WPPSI-Ⅲのデータ収集と分析に2020年度,2021年度は取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
幼児用ウェクスラー知能検査WPPSI-Ⅲの臨床データ収集及び分析と,発達障害特性を測定する社会情動的発達尺度(SEDC)及び実行機能尺度(BRIEF)のデータ収集及び分析が終了したので,これらの論文化を行っていく。最終年度に当たるので,これまでの研究の総括を行い,分担研究者及び研究協力者と発達障害臨床に活用できる包括的アセスメントシステムを構築し,事例研究を行うことで,その有用性を確認し,ガイドラインを作成し,研究者及び臨床家に公開することを目指す。
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