研究課題/領域番号 |
18H01090
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 真理 九州大学, 基幹教育院, 教授 (70274412)
|
研究分担者 |
立脇 洋介 九州大学, アドミッションセンター, 准教授 (50511648)
稲田 尚子 帝京大学, 文学部, 准教授 (60466216)
鈴木 大輔 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 特任講師 (70455814)
横田 晋務 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (70734797)
面高 有作 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 准教授 (80749474)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 発達障害 / テスト / 合理的配慮 / 実行機能 |
研究実績の概要 |
【目的】ASD者における試験時間延長に関するテストアコモデーションの妥当性について、①試験時間延長効果:ASDと定型発達の比較検討、②試験における困り感とASD特性との関連、の点から検討する。【方法】1.対象者:定型発達(TD)群:高校2年生57名。ASD群:高校2年生から20歳13名(平均年齢18.0歳)。2.事前調査:①独自に作成したテスト困り感アンケート35項目②ASD困り感(高橋ら,2012)25項目。3.学力テスト:大学入試センター試験の英語問題(筆記)。4.認知検査:WAIS-Ⅳ、CANTAB。【結果】1.時間延長の効果:時間条件(通常・延長)を独立変数としテスト得点従属変数とする、対応のあるt検定を実施した。テスト得点、両群ともに有意な効果は見られなかった。2.ASD者の認知特性との関連:時間延長による得点の変化と学力テストの得点で Group1~3 の 3 群に分けた。Group1 (延長効果有・学力低)において一貫した傾向はみられなかった。Group2(延長効果有・学力高)では、WAISのVC が他の合成得点より5%水準で有意に高いという特徴が見られた。Group3 (延長効果無)では,WAISのWM が PR より 5%水準で有意に低いという特徴で共通していた。CANTAB では,認知的柔軟性(IED)において,Group3 はTD群と同程度のエラー数であったのに対し,Group1, 2 のエラー数が多い傾向が見られた。【考察】認知的柔軟性は,ルールの変更などがあった際の課題遂行への柔軟な対応について示したものであり、認知的柔軟性が低い場合,問題形式の変化などに対応することが困難となり,学力テストのパフォーマンスが阻害される可能性が考えられる。このことから,ASD の実行機能の中でも認知的柔軟性の低さは、時間延長を必要とする根拠となる可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、対面でのデータ収集が予定通りできない期間があったため。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ感染予防を十分に行ったうえで、大学の行動指針に基づき対面でのデータ収集が実施可能な期間に集中してすすめることができるようにすすめる。
|