研究課題/領域番号 |
18H01093
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
蟹江 絢子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 医員 (40743810)
|
研究分担者 |
伊藤 正哉 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 室長 (20510382)
大江 美佐里 久留米大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (40373138)
片岡 弥恵子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (70297068)
大石 智 北里大学, 医学部, 講師 (70337939)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 周産期メンタルヘルス / 認知行動療法 / 周産期うつ / 周産期不安症 / 産後うつ / 医学教育 / 助産師 / メンタルヘルスリテラシー |
研究実績の概要 |
実績1-1:ガイデッドセルフヘルプマテリアルの開発 ガイデッド・セルフヘルプは、専門家による最少限の支援をもとに実施されるセルフヘルプである。周産期の精神疾患やその予防に関して、認知行動療法の考え方に基づきわかりやすく説明したテキストを開発した。これは、認知行動療法の専門家らにより監修されているが、助産師など現場で働く者が使いやすいようにデザインした。漫画などを用い親しみやすく理解しやすい内容とした。 実績1-2:ガイデッドセルフヘルプ介入ができる医療者の研修プログラムの開発 妊産婦のうつや不安に対しては2、3ヶ月のガイデッド・セルフヘルプが推奨されている (National Institute for Clinical Excellence, 201 4)。周産期女性に資料を提供するのみでは、認知行動療法への自主的コミットメントが限られる、そのため支援ができる医療者の育成が重要となる。助産師に対して、研修を行い、その効果検証を行ったうえで、さらなるブラッシュアップをし、認知行動療法や認知行動療法の対話のスキルの講義をしたうえで、ロールプレイをし、認知行動療法の専門家がスーパービジョンを行うといった研修を開発した。 実績1-3:臨床試験のプロトコール開発 認知行動療法をもとにしたガイデットセルフヘルプの臨床試験によりプロトコールを作成し、倫理委員会の承認を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績1-1:ガイデッドセルフヘルプマテリアルの開発の目標とおり、開発をした。 実績1-2:ガイデッドセルフヘルプ介入ができる医療者の育成の研修の開発をした。 実績1-3:認知行動療法をもとにしたガイデットセルフヘルプの臨床試験のプロトコールの試案を作成することを目標としていたが、目標よりさらに進み、プロトコールを作成し倫理委員会の承認を得るところまで進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
推進方策1:ガイデッドセルフヘルプ介入ができる医療者の研修プログラムの効果検証 今年度はブラッシュアップした研修プログラムである、メンタルヘルスに問題を抱える妊産婦への支援経験のある、または支援する予定のある助産師を対象とした、助産師 がよく遭遇する例のロールプレイを用いた研修プログラムを実施し、プライマリーアウトカムを助産師の認知行動療法実践の能力の向上としその効果検証を行う。 推進方策2:認知行動療法をもとにしたガイデットセルフヘルプの臨床試験による効果検証 認知行動療法の考え方に基づきわかりやすく説明したガイデッドセルフヘルプのテキストを作成したため、臨床試験による実施可能性、安全性、有効性の検証を検証する。不安症のリスクを有する妊婦60名に対して、認知行動療法のガイデッドセルフヘルプを受講する介入群と、通常ケアの対照群を無作為に割り付けるパイロットランダム化比較試験を実施する。介入群は、1セッション30分とし、妊娠期に合計 3回の個人セッション実施する。Primary outcomeは、産後1か月の不安(Generalized Anxiety Disorder-7)の変化量の2群間の差とし、GAD-7のスコアの変化量を算出 しt検定もしくはMann-Whitney’s U検定を行う。産後1か月の不安の程度への影響因子は、重回帰分析を行う。 推進方策3:社会的な困難状況を把握したうえでの、介入法の検討 現在わが国では周産期の不安症や強迫症も含めた周産期のメンタルヘルスの研究は少ないという現状がある。我が国特有の状況を十分に考慮するかつ2020年度に、新たに生じた新型コロナ ウイルス感染症をとりまく環境の変化などの社会的な困難状況を把握したうえでの、介入法の構築が必要となると考えたため、その予備的な情報を集めるべく周産期メンタルヘルスの縦断的観察研究を行うこととする。
|