研究課題/領域番号 |
18H01094
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
袴田 優子 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (30450612)
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研究分担者 |
田ヶ谷 浩邦 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (50342928)
水上 慎也 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (80759340)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知バイアス / 符号化 / 検索 / 認知介入プログラム / 不安 / 抑うつ / MRI / 内分泌・免疫炎症系 |
研究実績の概要 |
2020年度は、前年度に引き続き、介入試験を実施した。これまでに得られている成果として、ストレス関連精神障害に対するハイリスクを有する者における記憶バイアスの神経生物学的機序について検証した学術論文を、計4本、国際学術誌に公開している。うち1つは、リスク要因としての不安/抑うつになりやすいパーソナリティ傾向に焦点を当てた論文で、こうした傾向を持つ者では、本人でも意識しないうちに情動的にネガティブな情報を多く取り込み、意識下でより多く想起していることを明らかにした。更にこの潜在意識下でのネガティブに偏った想起は、コルチゾールとノルエピネフリンの主要代謝産物であるMHPGとの相互作用と扁桃体外側基底核-膝下前帯状皮質との間の機能結合によって影響されることを見出している。この他、リスク要因としての幼少期の被虐待経験に焦点を当てた論文では、幼少期の被虐待経験が重篤な人ほど、自伝的記憶における具体的な文脈情報が欠落していること、加えてこの記憶の欠落は鈍化したコルチゾール分泌と前頭前皮質-外線条皮質間の機能結合の変異によって媒介されることを見出した。いずれも伝統的な精神神経内分泌学雑誌であるPsychoneuroendocrinologyに筆頭著者および責任著者として採択された。さらに幼少期の被虐待経験と免疫指標であるインターロイキンやC反応性タンパクの概日リズムとの関連について明らかにした論文を責任著者として影響力のある精神免疫学雑誌Brain, Behavior, and Immunityに、また幼少期の被虐待経験における神経生物学に関するシステマティックレビューを名誉ある神経内分泌学雑誌Frontiers in Neuroendocrinologyに筆頭著者・責任著者として採択されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
参加者リクルートはコロナ禍により少なからず影響を受けたものの、継続的にデータを収集している。関連する成果公開は順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで参加者リクルート方法を機関のHPや掲示板、地域情報誌やウェブ広告への掲載としていたが、コロナ禍の影響を受け、予想した以上には集まらなかった。今後は、介入研究参加に特化した募集サイトに掲載する等、より本研究に関心の高い人々に参加してもらい、リクルートの最適化と効率化に向けた工夫を重ねていく。
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