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2019 年度 実績報告書

目的的行動から習慣行動への遷移を支える微視的理論と依存研究への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18H01105
研究機関専修大学

研究代表者

澤 幸祐  専修大学, 人間科学部, 教授 (60407682)

研究分担者 丹野 貴行  明星大学, 心理学部, 准教授 (10737315)
神前 裕  早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (80738469)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード習慣的行動 / 目的的行動 / 依存 / 連合学習 / 行動分析
研究実績の概要

本年度はまず、VRスケジュールとVIスケジュールに関する大規模な実験を実施した。ハトを被験体とし、強化率をそろえた両スケジュールの間の反応率を比較するという手続きを、強化率を5条件で変化させて実施した。そして各条件ごとに、反応が安定した後に先行給餌を行い、反応率の減少を確認した。その結果、反応率のデータに関しては、VRスケジュールで一貫して高くなるという先行研究の結果が再現された。一方で、先行給餌の効果については、VRスケジュールで反応率の減少が大きいとする先行研究の結果は再現されなかった。これは、習慣行動/目標志向行動を分化させる一要因としての強化スケジュールというこれまでの見解に疑問を抱かせる結果であり、併せて行った行動の微視的な分析も絡めつつ、どのような要因がこれに関与しているのかのさらなる研究の必要性が示された。
また、ラットにおいてもVIとVRスケジュールについて複数のパラメータを用いて実験を実施したが、先行研究で報告された習慣形成に関する差は観察されなかった。低価値化に事前給餌を用いる問題点が最近報告されており、これを考慮する必要性が確認された。
メタンフェタミン(METH)の慢性投与による習慣形成促進の詳細を検証した。METH慢性投与後、レバー押しをショ糖溶液で強化する道具的訓練を行い、低価値化に対する影響とR-O随伴性低下への影響を検証した。生理食塩水統制群に比べMETH群では低価値化への感受性が低く、逆に随伴性低下により早く追従して反応低下を示す傾向が見られた。
続いて、習慣形成ではS-O学習がR-O学習を隠蔽しMETH投与は前者を亢進させるとの仮説を立てこれを検証した。強化・消去期間が交互に現れる多元スケジュールでの訓練後、S+に対する文脈条件づけの強度を2群で比較した。結果として群間に有意差は見られなかったが、実験変数を変更して追加検証を行う必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度は、当初の計画に従い、変動比率強化スケジュールと変動時隔スケジュールの違いによる習慣行動/目標志向行動の分化を、微視的なレベルでの分析も含めて検討した。ハトを対象とし、1条件で最低でも30日が必要であり、これを5条件実施するというものであったが、2019年度中にそれを完了し、ある程度のデータ分析まで終えることができた。現在はこの成果の学術雑誌への投稿を準備中である。
あわせて、習慣形成の微視的メカニズムを検証するための行動実験、およびメタンフェタミンによる習慣形成の促進を検証する行動薬理実験を実施した。前者については、スケジュール要因の検討に関する部分が予想よりも難航した。これは上述の通り検証手続きに問題がある可能性が最近指摘されたため手続きを変更して引き続き検証する。後者の研究からは、習慣行動を規定する2つの定義、すなわち結果の価値への参照欠如とR-O随伴性知覚の低下について、これらが乖離する可能性を示す興味深い結果を得た。

今後の研究の推進方策

2019年度の研究では、先行研究の結果が一部再現されず、これより再現を左右する制御変数を同定するためのさらなる研究が必要となる部分があった。一方で、文脈条件づけ(S-O学習)と道具的学習(R-O学習)との競合が習慣形成のメカニズムであるとの行動水準での仮説に矛盾しない行動薬理学的な知見も得られており、引き続きこれを検証していく。特定感染症の影響による中断も懸念されるが、2020年度も引き続き、これについての検討も続行する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] The effects of ratio and interval schedules on the location variability of pecking responses in pigeons: Application of Bayesian statistical model2020

    • 著者名/発表者名
      Kono Masanori、Tanno Takayuki
    • 雑誌名

      Behavioural Processes

      巻: 172 ページ: 104059~104059

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.beproc.2020.104059

    • 査読あり
  • [学会発表] Local analysis of the effects of changeover delay on choice in concurrent variable interval schedules.2019

    • 著者名/発表者名
      Tanno, T., & Orihara, T.
    • 学会等名
      10th International Conference of Association for Behavior Analysis International
    • 国際学会
  • [学会発表] Effects of pre-exposure to methamphetamine on instrumental conditioning in mice.2019

    • 著者名/発表者名
      Nakayama, M., & Kosaki, Y.
    • 学会等名
      The 79th annual meeting for the Japanase Society of Animal Psychology
  • [学会発表] Methamphetamine-induced taste aversion/avoidance in mice.2019

    • 著者名/発表者名
      Miki, R., & Kosaki, Y.
    • 学会等名
      The 79th annual meeting for the Japanase Society of Animal Psychology
  • [学会発表] Chronic nicotine administration increases preference for variability in mice.2019

    • 著者名/発表者名
      Fuseya, T., Kakimoto, H., Fujimaki, S., & Kosaki, Y.
    • 学会等名
      The 79th annual meeting for the Japanase Society of Animal Psychology

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公開日: 2021-01-27  

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