主にp進簡約群のp進表現,特にp進バナッハ主系列表現の既約性に関する研究を行った.p進バナッハ表現に対しては局所解析的ベクトルからなる部分空間を考えることができ,これはもとの空間の中で稠密となっている.p進バナッハ主系列表現に対してこの部分空間を考えると,それはp進局所解析的主系列表現となる.Orlik-StrauchやBreuilによるこの表現の記述を応用することで,p進バナッハ主系列表現の既約性に関する判定法を得た.特に,一般の有限次元p進バナッハ表現からの誘導表現の既約性に関する問題がスムーズ表現からの誘導表現の既約性に関する問題に帰着されることを示した.さらにスムーズ表現からの誘導表現の場合にWhittaker模型の存在を用いた既約性の十分条件を与えた.これらの判定法をもとにGL(3)の場合の既約性の完全な判定を行った.結果としては,GL(3)の場合には自明な場合を除き既約になることを示すことができた.証明はそうでない場合に既約であることを示すことになる.多くの場合に上で述べたWhittaker模型の存在に関する判定法で既約性を示すことができるが,扱いきれない場合が残る.その場合には,与えられた0でない部分表現に対してそのJacquet加群を使うことで多くの元をその部分表現の中に構成し,それらの極限をとることで部分表現が全体となることを示した.ただし,この議論はGL(3)における具体的な計算に依存している. なお,これらの研究はトロント大学のHerzig氏との共同研究である.
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