研究課題/領域番号 |
18H01108
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
權業 善範 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (70634210)
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研究分担者 |
中村 勇哉 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教 (20780034)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | MMP |
研究実績の概要 |
2020年度は、コロナ渦の中、予定していた研究活動を大幅に変更しての活動となった。具体的には予定していた研究集会への参加及び講演活動は行うことができなかった。講演活動はオンラインにて、UCLAの代数幾何セミナー及びZoom Algebaraic Geometry seminarにて講演を行なった。またZoom Algebraic Seminarと東大・京大代数幾何セミナーの世話人を行い、情報収集における研究活動を行なった。 研究の進展状況だが, 2020年度は, 一般化された偏極対に対する極小対数 的閾値の論文 (中村勇哉氏と Wei–Chung Chen 氏との共著) をまとめつつ、退化されたファイバー上の多重標準系からの拡張の問題について 変形理論的視点からの研究を行った。割とこれ はうまくいっているようで近日中にまとめて発 表できればと考えている。その他にも、退化の 構成、相対的 Du Bois 複体についての研究など を行った。主に神戸大学の佐野太郎氏や Utah 大 の Christopher Hacon 氏と議論している。特に相対的Du Bois複体の応用の研究は現在Christopher Hacon氏と議論を重ねドラフトはできているものの証明に間違いがないかなどをチェックしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
局所大域対応による特異点への研究は、若干煮詰まって来てので、変形理論及びホッジ理論からの視点に切り替えた。その結果、今まで見てこなかったことが割とクリアーになったり、問題点が浮き彫りになったりした。変形理論・ホッジ理論からの視点は当初予定していた研究計画にはなかったのでこれは非常に良かったと思う。一方、極小対数的食い違い係数の研究が当初の予定よりはあまりうまくいっていない。そこがマイナスであると自己評価できるが、新しい視点を見つけたことで進展する可能性があると思うので総合的には概ね順調に進展していると言えるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行している研究を論文としてまとめることは当然のことと思っているが、退化されたファイ バー上の多重標準系からの拡張の問題を完全に解決したいと直近では思っている。鍵となるのは退化した空間における小平・スペンサー理論であるが、これはDifferetial Graded Lie Algebraなどで理解できるが、非特異ファイバーの場合よりも複雑になっている。それを用いて、切断の無限小持ち上げを議論していくのだがその障害が小平・スペンサー類とその微分を用いて記述できる。これにHodge--de Rham型のスペクトル列の退化の議論を組み合わせるの鍵となる。ストーリーはこうなのだが、まだ技術的にクリアでないところがいくつかあるのでそれクリアにしていきたい。また2020年度は推進できなかった向井予想型の予想の研究したい。これは局所大域対応からみた研究であり、ショクロフの複雑さの理論と射影空間の直積の特徴づけに関する向井氏の予想の融合である。残念ならオリジナルの向井氏の予想との関連はまだわかってないが、それなりに正しいのではないかと思っている。
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