研究課題/領域番号 |
18H01117
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
芥川 一雄 中央大学, 理工学部, 教授 (80192920)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Einstein計量 / 山辺計量 / 山辺不変量 / リッチフロー |
研究実績の概要 |
(1) 特異多様体上での山辺の問題の可解性:本問題に関しては,共同研究者のIlaria Mondelloとの共同研究で「Non-existence of Yamabe minimizers on singular spheres」(preprint)として研究成果を得た.主定理として,標準的Edge-cone特異計量を持つ球面上では,その cone angle が4π以上であるならば,(特異)山辺計量は存在しないことを示した.さらに,cone angle が2πより小さい場合の特異球面上での定スカラー曲率計量全体の成す空間の記述を与えた.関連する研究として,境界付きコンパクト相対Einstein多様体上で共形的定スカラー曲率計量に対する小畠型一意性定理を示した.この結果は,「Obata-type theorems on compact Einstein manifolds with boundary」として執筆予定である.
(2) Simple Edge 計量を初期計量とするリッチフローの幾何解析:2018年度は,必要知識の習得で終わってしまい,この問題は2019年度以降への課題である.
(3) Edge-cone アインシュタイン計量の存在問題と山辺不変量への応用:現在共同研究者のMondelloとの共同研究で論文「Edge-cone Einstein metrics and the Yamabe invariant」を執筆中である.主定理としては,正のedge-cone Einstein特異計量に対して,リッチ曲率の下限ががそのEinstein計量のものに任意に小さい誤差で近似できる適切な滑らかな計量族を構成をしたことにある.応用として,正のedge-cone Einstein特異計量の存在によって,与えられた閉多様体の山辺不変量の下からの評価をできることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Simple Edge 計量を初期計量とするリッチフローの幾何解析に関して,必要知識の習得に時間がかかり,2018年度は問題解決のための研究に取り掛かれなかった.
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今後の研究の推進方策 |
(1) edge解析などの必要知識をさらに習得し,特異計量を初期値とするリッチフローの研究を進め,特異Einstein計量の幾何解析的な研究を発展させる.同時に境界付き多様体上のリッチフローの研究も進める.
(2) edge特異点を持つKaehler-Einstein多様体の具体例を調べ,それを山辺不変量への応用へと発展させていく.
(3) 2019年度9月に「第1回日独友好幾何学研究会」を中央大学理工学部にて開催し,参加したドイツの数学者達と本研究課題に関する研究連絡を行う.
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