研究実績の概要 |
シンプレクティック型の一般化されたケーラー多様体のスカラー曲率がモーメント写像として与えられることが示された. これは通常のケーラー幾何における藤木・ドナルドソンの「モーメントマップの枠組み」を一般化されたケーラー幾何学に拡張したものである. さて, スカラー 曲率の概念が導入されれば, スカラー曲率一定の一般化されたケーラー構造の存在, 非存在を調べることは重要な問題となってくる. この研究では, 一般化された複素多様体の自己同型群という概念を新たに導入した. 多様体の奇数次のベッチ数が零という条件の元, もし 一般化された複素多様体がスカラー曲率一定のシンプレクティック型の一般化されたケーラー構造を持てば, その自己同型群のリー環は簡約リー群となることを示した. これはケーラー幾何での松島・リヒネロビッツの定理の拡張である. さらに存在に関しては, 変形理論を用いて, スカ ラー曲率一定のシンプレクティック型の一般化されたケーラー多様体を構成することに成功し, これらの結果を論文 "Matsushima-Lichnerowicz type theorems of Lie algebra of automorphisms of generalized Kahler manifolds of symplectic type" にまとめた. この論文は mathematishe annalen に2021年掲載された. シンプレクティック型とは限らない一般化されたケーラー多様体においてもモーメント写像の視点からスカラー曲率の概念を導入した. Semi-simple Lie group の場合に, カルタン・キリング 3-form で twist されたスカラー曲率が定数となる一般化されたケーラー構造の構成を行った. これらの結果を論文にまとめ Arxiv 上に発表した.
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