研究課題/領域番号 |
18H01124
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白井 朋之 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (70302932)
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研究分担者 |
種村 秀紀 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40217162)
香取 眞理 中央大学, 理工学部, 教授 (60202016)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 行列式点過程 / Weyl-Heisenberg 点過程 / harmonic ensemble / spherical ensemble |
研究実績の概要 |
ユニタリ群上からハール確率測度でサンプルしたランダム行列(CUE)は複素単位円周上に固有値をもち、その全体は行列式点過程をなす。特にサイズを無限大にすると正弦核を相関核とする行列式点過程に収束する.この事実を球面上の2種類の行列式点過程に対して拡張して考察した.1つ目は,CUEの固有値の結合密度関数が2次元のユークリッド距離に関するヴァンデルモンドの行列式で与えられる点に着目して,球面上の点の結合密度関数が3次元のユークリッド距離に関するヴァンデルモンドの行列式で与えられる場合を考えた.これはKrishnapurが考察していたGinibre行列とその独立なコピーの逆行列の積の固有値を立体射影でリーマン球面に引き戻したものに一致する.この点過程の点の個数を無限大とするとき,北極のまわりに着目してそのまわりの点密度が定数になるように拡大するスケール極限をとるとGinibre点過程に収束することを見た.2つ目は球面上のラプラシアンのある閾値より小さい固有値に属する固有関数からなる固有空間への直交射影から定まる再生核を相関核とする行列式点過程を考えて,上と同様の問題を考えてその閾値を無限大にする極限をとると,一般化されたPaleyーWiener空間の再生核を相関核とする行列式点過程に収束することが得られた.また,2次元球面をn次元球面とし,行列式点過程として後者のものをとると,やはり一般化されたPaleyーWiener空間の再生核を相関核とする行列式点過程に収束することがわかった.いずれも行列式点過程の中でも重要な位置を占めるものであり普遍性が期待されることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画では、行列式点過程のWeyl-Heisenberg点過程の一般化に関する研究が進みはじめて,新たな問いがあらわれてきた.特にWeyl-Heisenberg点過程の専門家のAbreu氏との議論の機会も得て,種々の研究の方向性が得られた.また分担者の香取氏との共同研究で,行列式点過程に関する普遍性に対する新たな知見が得られたため.おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後も行列式点過程とその周辺のいくつかの課題を並行して扱いながら,特に研究実績の概要で述べた普遍性に関する研究を行うとともに,今年度までに得られたWeyl-Heisenberg点過程の一般化の方向性をさらに進めて行く予定である.
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