研究課題/領域番号 |
18H01135
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
野津 裕史 金沢大学, 数物科学系, 教授 (00588783)
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研究分担者 |
中澤 嵩 大阪大学, 数理・データ科学教育研究センター, 准教授 (20726765)
米田 剛 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (30619086)
SHEN Amy 沖縄科学技術大学院大学, マイクロ・バイオ・ナノ流体ユニット, 教授 (70740314)
佐藤 勝彦 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (90513622)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 粘弾性流体 |
研究実績の概要 |
本研究において、粘弾性流体に特有な渦が現れる理由を解明する。円柱周りの流れを考える。例えば水などの粘性流体では、(流体の粘度と速度に関する無次元数である)レイノルズ数がある程度大きいときに円柱の下流方向においてカルマン渦が発生する。これはよく知られている事実であり、非圧縮ナヴィエ・ストークス方程式の数値シミュレーションによって再現できる。一方、粘弾性流体では、レイノルズ数が小さく(緩和時間と剪断速度に関する無次元数である)ワイゼンベルグ数が大きいときに円柱の上流方向において、渦が発生することが物理実験によって確認されている。これが、粘弾性流体に特有な渦である。粘弾性流体に特有な渦を偏微分方程式の数値シミュレーションによって再現することが本研究の目的である。そのために、適切な偏微分方程式の選択あるいはモデリングおよび数値シミュレーション手法の構築とその実行が必要である。オルドロイドBモデルに代表される、粘弾性流体の支配方程式がもつ構造の理解を目指し、マックスウェル型の粘弾性体モデルが勾配流構造をもつことを明らかにした。また、有限要素スキームを提案し、同構造を維持することを示した。これらは今後の研究推進に資する成果であり、1編の論文にまとめられた。この中で、1次元のバネとダッシュポットの概念図を元にしつつも、明解に多次元モデルの導出を行っている。これまで、エネルギー減衰の性質は知られていたが、より踏み込んだ結果である勾配流構造を得た。実際、エネルギー減衰の性質は勾配流構造から容易に導かれる。また、勾配流構造は、安定な数値シミュレーション手法構築にも貢献している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粘弾性流体の理解を目指して、ある粘弾性体モデルが勾配流構造をもつことを明らかにした。また、同構造を維持する有限要素スキームを構築した。これらは今後の研究推進に資する成果である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた結果を生かし、粘弾性流体モデルの数値シミュレーション手法構築を推進する。特に、高ワイゼンベルグ数問題の数値シミュレーションを可能とする数値計算スキームの構築を推進する。
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