現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2次元非圧縮流体の運動方程式であるナヴィエ・ストークス方程式を空間2次元で考える。この偏微分方程式はレイノルズ数というパラメータを持つが、これが大きい時には流れは乱れてしまい、複雑な流れが発生する。したがって、その解は常に乱れていると考えがちであるが、これまでの研究によって整然とした素直な流れが存在するという意外なことがわかってきた。中でもコルモゴロフ問題と呼ばれる問題において、流線がほぼ円形になる定常解が見つかった。2次元ナヴィエ・ストークス方程式をスペクトル法で離散化し、数値計算することによってこうした円形の流れを発見することに成功した。さらに本研究では、その流線の性質、特に流れ関数の形状を、理論的に解明することにも成功した。これはプラントルによって100年以上も前に発見され、その後50年ほどしてとバチェラーによって再発見された方法を拡張することによって成功したものである。本研究の結果によれば、流れ関数は0次ベッセル関数を使って書き表すことができる。結果を数値解と比較してみると、極めてよく一致していることが分かった。したがって、プラントル理論とその一般化は重要なアイデアであることもわかり、他の問題にも応用可能であるという示唆を受ける。結果はS.-C. Kim and H. Okamoto, Prandtl-Batchelor theory for Kolmogorov flows, vol. 89 (2020) 114401, J. Phys. Soc. Japan, (2020) に発表した。 解の爆発問題については台湾の中山大学の卓建宏教授と研究を続けている。
|