研究課題/領域番号 |
18H01139
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
森田 善久 龍谷大学, 理工学部, 教授 (10192783)
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研究分担者 |
宮路 智行 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20613342)
村川 秀樹 龍谷大学, 理工学部, 准教授 (40432116)
李 聖林 広島大学, 理学研究科, 准教授 (50620069)
神保 秀一 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80201565)
岩見 真吾 九州大学, 理学研究院, 准教授 (90518119)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | チューリング不安定性 / 細胞極性モデル / 反応拡散方程式 / パターン形成 / 細胞接着モデル / ウィルス感染モデル / 安定性解析 / フロント波の伝播 |
研究実績の概要 |
研究課題に関連した以下のような成果をあげた。 1)研究代表者の森田は、 細胞質と細胞膜の間の反応を考慮したときに導入されるバルク-表面拡散(bulk-surface diffusion) 系の数理モデルにおいて、具体的な領域におけるチューリング不安定性の条件を決定した。パターン形成の理論において基礎的かつ重要な結果として位置付けられる。この成果は論文として出版されている。2)森田は、半直線上でのフロント波の伝播現象を特徴付ける新しい全域解の存在について証明し、その成果の論文は出版される予定である(すでに電子版は公開中)。3)分担者の神保は、3つの半直線をY字状に繋いだ領域において、Allen-Cahnモデルのフロント波の伝播が非常にゆっくりと起こることを示した。遷移層の伝播において、複数の伝達媒体が交差する箇所が果たす役割について今後の研究が期待される成果である。4)分担者の李は、細胞極性が生じるメカニズムにおいて、生化学物質の拡散が引き起こす重要な役割について数理モデルの研究から明らかにし、その成果の論文は出版される予定である。5)分担者の村川は、細胞集団の細胞接着モデルの数値解法を詳しく研究し、数値誤差や近似解の収束について数学的な結果を得た。6)分担者の宮路は、計算位相幾何学の手法を生体信号分析に応用する例を得た。7)分担者の岩見は、免疫不全ウィルスの細胞感染ダイナミクスにおけるSHIV-#64 やSHIV-KS661 の量的分析に、CD4+T 細胞の量を評価する手法を発展させた。数理モデルのパラメータを決めるのに非常に重要な成果であり、その結果は論文として公表されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の具体的な問題として設定していた細胞極性の数理モデルおけるチューリングタイプの不安定化の理論が構築でき、研究は進展している。また、関連してバルク-表面拡散系のモデルについても解析が進んでおり今後の進展が大いに期待できる。一方、間接的に関連した問題についてもいくつか成果が得られており、順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
以下のような課題について、セミナーや研究打合せを行いながら研究を進めていく。また、関連した研究をしている専門家を招いて情報交換を行う。 1)高次元の細胞極性モデルの解が示す空間パターンの形状について詳しい解析を進める。2)バルク-表面拡散モデル系の研究を細胞極性モデルの解析に応用する。3)ウイルス感染の空間的効果を取り入れた数理モデルを構築し、感染伝播についての研究を進める。
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