金属元素の中でも最も自由電子的なアルカリ金属を対象として、溶融状態を長時間安定に保持する試料セル技術と、放射光を用いた非弾性X線散乱とを組み合わせることにより、液体リチウムにおける電子密度応答関数を実験的に初めて導出した。測定対象を電子ガスモデルのプロトタイプ系であるアルカリ金属としていることが大きな特徴である。電子密度応答関数は、電子間の相互作用を反映する重要な物理量であり、密度汎関数法などの理論計算手法においても、交換相関効果の基礎を与える。本研究における実験で得られた電子密度応答関数に関する知見は、電子間相互作用の理解を、実験的立場から深化させていく上で有用な情報となり得るものと考える。
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