研究課題
強いスピン軌道相互作用がある物質表面における軌道運動量に依存した特異なスピン構造の研究の発展として、強い電子相関のある系においても、スピンと運動量が結合した電子状態の研究が行われつつある。本研究では、電子相関が関与する物質単結晶表面を、表面科学手法を用いて原子レベルで清浄化・平坦化し、準粒子干渉測定(A班)とスピン角度分解光電子分光(B班)とを主な研究手法として、そのスピン偏極表面ん電子構造を解明することを目的とする。A班は、トポロジカル近藤絶縁体候補のSmB6とYbB12単結晶表面を開発した手法で清浄化し、その局所構造依存トンネル分光(STS)および準粒子干渉測定を行った。その結果、SmB6では表面状態の存在を示す電子エネルギーに依存した干渉パターンが観測された。一方、YbB12では電子散乱が弱く電子エネルギーに依存した干渉パターンが観測できなかったものの、局所電子状態密度の表面構造依存性が観測された。現在、この結果を解析中である。また、SmB6表面にコバルト単原子を蒸着したところ、原子の周囲の局所状態密度が清浄面のものとは異なっており、コバルト原子によってトポロジカル電子状態が変化したと解釈した。そして、既設極低温STMの改造を行った。B班は、11eVレーザー光システムを用いたスピン角度分解光電子分光(SARPES)測定装置を完成しトポロジカル絶縁体のスピン偏極バンド構造を20meVの分解能で測定した。また、時間分解SARPESの開発も行い、時間分解能2psecでトポロジカル絶縁体非占有表面状態の寿命を調べた。軌道放射光を用いたARPES測定では層間相互作用の強いツイスト2層グラフェンの電子状態を精密に調べ、ツイスト角度に依存したフラットバンド領域の変化を明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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