研究課題
最終年度である本年は、測定プログラムの作成を含む装置の改良と最終調整を行った。原子層薄膜や関連するバルク試料を高精度で評価するために、レーザー光の集光光学系を改良することで40 um以下の微小スポットを得ることに成功した。原子層超伝導薄膜作製プラットフォームの拡張として、試料ホルダの標準化とポータブル真空搬送装置の作成を行い、東北大で作成した試料を放射光まで移送し、明瞭なARPESスペクトルを観測することに成功した。試料の超伝導ギャップの高精度観測のために、装置の電子レンズパラメーターやスリット調整を行い分解能を向上させ、さらに試料マニピュレーター制御の低温化を行った。測定効率の向上とコロナ禍における無人測定の実現のために、電子状態の自動マッピングの制御および解析システムの実装を行った。装置の開発と並行して、原子層超伝導体や関連物質の作製と光電子分光実験を行った。単層FeSe超薄膜において超伝導状態における準粒子バンドを高精度で測定し、これが通常のボゴリウボフ準粒子では説明できない分散構造を示すことを見出した。CaF2上に成長したFeSe1-xTex試料において、超伝導を示す組成と非超伝導組成とではバンドを構成するt2g(dxy/dyz/dzx)軌道の混成比が大きく異なることを見出し、ネマシティと高温超伝導の間の強い相関を示唆した。ファンデルワールス強磁性体Cr2Si2Te6上に成長したBi2Se3薄膜において超薄膜領域(2nm)でディラックギャップを観測したが、その大きさはキュリー温度前後で有意な差を示さず、トポロジカル/強磁性体ヘテロ構造において界面接合が物性を大きく左右すると結論した。また、この他にも、Bi薄膜における電子状態の異常な温度変化や、新規ディラック電子系であるCaAuAsやEuIn2As2の表面状態の観測などについて論文を発表した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件)
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