研究課題
本申請『超安定パルス磁場を用いた強磁場NMRとラマン分光』であるが、期待以上の成果が得られた。最初にパルス強磁場下NMR測定が成功し、日本では最大磁場となる53.6TでのNMRスペクトル測定が成功できたことを取り上げたい。更に超安定パルス磁場を使うことで、世界で初めてスピン-格子緩和時間をパルス磁場下計測できたことも、技術的な発展のハイライトである。この測定技術の発展と並行して、NMRに関連する成果が得られた。これは例えば、CeRhIn5やCaCu3(OD)Cl2・0.6H2O等の研究実績があげられる。一方ラマン分光については、基礎要素の開発に留まったのは非常に残念であるが、光学測定手法および磁場発生系のアップグレードを達成した。今後の研究開発に繋がったと考えられる。本研究のキーワードの一つである超安定パルス磁場に関する技術が、大きく発展したことも注目すべき研究成果である。この技術の波及効果は非常にブロードであり、NMRやラマン分光に限らず、比熱測定等にも応用された。特にボルボサイトにおけるスピンネマテック相の発見や、CeRhIn5やYbB12、UIrGeにおける有効質量の増大、UTe2における臨界磁場での比熱ピークなど、超安定パルスを使った比熱測定によって、多くの物理的な発見があった。これらはPNAS誌やPhys.Rev.Lett.誌、Phys.Rev.B誌などの一般および一流専門誌に多数報告でき、他にもRev. Sci. Instrum.誌などの装置開発に関する成果も3件発表できた。更には安定化パルス磁場下での熱輸送特性に関する成果も、調整段階である。このように超安定パルス磁場周辺の研究でも、大きな進展が幾つもあった。これは本申請が本来有している、『新たな研究領域を切り拓く』という開拓的な側面がポジティブに作用し、周辺領域での研究が活性化した結果と思われる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (26件) (うち国際共著 11件、 査読あり 26件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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