研究課題
基盤研究(B)
固体電子系の相転移に伴う対称性の破れを検出する新たな測定手段として,3軸制御の回転磁場下磁化測定装置を開発した.この装置は,0.3Kの極低温において試料の特定の結晶軸のまわりで正確に磁場を回転させながら磁化を測ることが可能である.この装置を用いて,ビスマスの3回軸についての対称性の破れの検証を行った.先行研究の磁気抵抗測定では低温磁場中で3回対称性の破れが報告されていたが,磁化測定の結果,有意な対称性の低下は認められなかった.
固体物理学
相転移における対称性の破れを検出する手段としてX線や中性子による構造解析は強力な実験手段である。しかし、電子系における相転移には、これらの回折実験では検出できない場合が少なくない。ある種の軌道整列やネマチック転移、異方的超伝導転移などがそのような例に含まれる。本課題で開発した回転磁場下の磁化測定装置は,このような対称性の破れを検出する新たな測定手段を提供するもので,相転移現象の解明に広く応用できるものである.