Cd2Re2O7はスピン軌道結合金属の候補であり、スピン軌道相互作用に由来するフェルミ液体不安定性から空間反転対称性を破る相転移が現れ、2つの低温相はスピン分裂したフェルミ面を有する遍歴奇パリティ多極子秩序状態にあると考えられている。本研究では(001)表面をもつ良質な単結晶を育成し、異方的応力印加による正方晶ドメイン制御に成功した。シングルドメイン結晶を用いた電気抵抗測定から、25%もの大きな異方性がTs2 = 120 Kにおいて反転することが分かった。その原因はスピン分裂フェルミ面におけるスピン依存散乱にあり、2種類の奇パリティ多極子相と相転移の起源を理解する上で重要な情報を与える。
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