研究課題/領域番号 |
18H01173
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
寺崎 一郎 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30227508)
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研究分担者 |
堀田 知佐 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50372909)
安井 幸夫 明治大学, 理工学部, 専任教授 (80345850)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スピン液体 / 相互作用の競合 / 二量体格子 |
研究実績の概要 |
本研究代表者らは、最近スピン液体候補物質Ba3ZnRu2O9を発見した。そして、この物質の磁性を担うRu2O9二量体の中では、二量体間・二量体内の反強磁性相互作用が競合し磁気秩序が抑制されているのではないかということを提案した。本申請研究は、相互作用の競合が生み出す新しいタイプのスピン液体を探索し、上の提案を検証するものである。 ZnサイトをすべてCaで置き換えたBa3CaRu2O9はRu二量体が一重項をつくって非磁性となる。この系のRuをNbで部分置換したところ、一重項は弱く相互作用していることがわかり、中性子非弾性散乱の結果と整合した。一方Ba3ZnRu2O9のRuサイトをNbで部分置換した一連の試料において弱強磁性を見出した。この強磁性はBa3CaRu2O9には見られないものであり、背景のスピン液体が本質的である。この磁性を明らかにするためにμSR測定については申請が採択されたが、新型コロナ感染症拡大で実験が延期され、先が見通せない状態である。 S=1のネマティック相の熱力学的な性質を調べたところ, 強的ネマティック相に磁場をかけた際に転移温度がいったん上昇した後で下降するリエントラント現象が起こることを見出した。 この現象はエントロピー効果によるものであり, ヘリウム系において有名なポムランチェック効果と類似した理解をすることができる。またスピン液体をはじめとする量子多体系をより厳密に定量的に取り扱うための手法開発に関する研究を行った。具体的には密度行列埋め込み群という最近 量子化学の分野で提案された手法を新たに取り入れ、この手法によってエンタングルメントスペクトルという、波動関数の指紋ともよばれる物理量がほぼ厳密に求められることを初めて指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不純物効果の研究はBa3CaRu2O9のスピンギャップ系の計測を含め、計画以上に進展している。理論的にはスピン四重極液体の可能性が明らかになってきた。しかし、新型コロナ感染症の拡大で、μSRなどの共同利用が延期になったり対面での研究打合せができずその分進展が遅れており、総合的に(2)と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
オンラインでの研究打合せや研究会など遠隔で可能な研究スタイルを模索するとともに、試料を郵送して測定を依頼するなどで共同研究を維持したい。
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