研究課題
希土類元素を含む結晶では、重い電子の形成、エキゾチックな磁気秩序や異方的超伝導など多様な秩序状態、価数揺動に伴う興味ある現象・強相関電子物性が観測されている。特に近年、Ybを含む強相関物質の結晶で非従来型の量子臨界現象とそれに関連した磁性・超伝導について精力的に研究が進められてきた。我々は準周期性・周期性に着目し、強相関電子系における並進対称性の役割の研究を進めた。(1)元素置換によりYbの磁性を制御することが可能になった。さらに、高次元の格子定数を用いて、Tsai型クラスター構造をもつYb系準結晶・近似結晶の磁性が整理できることがわかった。この結果はScientific Reportsに掲載され、プレスリリースされた。その後、Ybを含むTsai型のクラスター構造をもつ新しい4元系の準結晶・近似結晶の開発に成功し、Yb系準結晶の非従来型量子臨界現象がAl系以外でも発現することを発見した。この系は1/1近似結晶・2/1近似結晶・準結晶が作成可能で物質の多様性があり、今後の研究の発展に重要な物質系となると考えられる。(2)Au-Ge-Yb近似結晶の超伝導が準結晶の超伝導の発見につながったことにより、日本物理学会第26回論文賞受賞となった。Au-Ge-Yb近似結晶をベースにした物質開発により、新たにAu-Ge-La近似結晶で超伝導を発見した。特筆すべき点として、準結晶・近似結晶の物質系ではじめての非従来型超伝導が発現している可能性が高い点があり、今後の研究の発展に重要な物質系となると考えられる。(3)Au-Al-Yb準結晶と近似結晶を中心として研究を進めていた「強相関電子系準結晶に特有の電子状態と価数・磁気臨界状態」についてこれまでの結果をReview論文(J. Phys. Soc. Jpn. 91, 072001-1-31 (2022).)にまとめて出版した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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